ひぐちたかしの新作ソフト紹介


【第102回】

「SHORT IDEA NOTE」

ネタ帳にも絵日記にも! アイデアを視覚的に記録できるカード型データベース

(00/10/30)

 ふと思いついたアイデアや日常のちょっとした話、昨夜見た夢などをメモに取ったり日記に書いておくと、あとで話のネタにしたり結婚式のスピーチに使うなど、何かと役に立つことがある。しかしかなり書きためてからいざ読み返そうとしても、いつどこにどんなことを書いたか忘れていて、探し出すのが大変だったりするものだ。とりとめもなく書きとめただけの文章だと、最後まで読まなければ笑い話なのか悲しい話なのかわからず、読み返すだけで一苦労ということもある。そこで今回は、アイコンや画像を使ってビジュアルにアイデアを記録でき、ネタ帳や日記帳のように手軽に使えるデータベースソフトを紹介しよう。

どんなソフト?……アイデアを視覚的に記録できるカード型データベースソフト

「SHORT IDEA NOTE」v1.6  「SHORT IDEA NOTE」は、ちょっとしたアイデアや日記のような短めの文章を視覚的に記録しておけるカード型のデータベースソフトだ。笑った顔や怒った顔、[禁]、[いちおし]のように絵や文字が描かれたアイコン風マークをデータごとにつけられ、後からパッと見てデータの内容が判別しやすい。テキストだけでなく画像も同時に登録できるので、絵日記や画像の整理など、ちょっとした用途に手軽に使えるのが特長だ。

 メインウィンドウの外観は比較的シンプル。メニューバーの下にツールボタン群、その下にデータ番号の表示、マークやジャンルの選択リストボックス、タイトル入力ボックス、その下にテキスト本文を入力する大きなエディットボックスという構成だ。データの入力と閲覧は同じメインウィンドウで行い、一見テキストエディターかメールソフトのメール送信ウィンドウのようにも見える。基本的な使い方もシンプルで、データの入力はジャンルをリストから選び、タイトルを入力して、エディットボックスに文章を書いていく。さらに文章の内容により、右上のマークリストから好きなマークを選んで表示しておこう。例えば、笑い話なら笑顔のマーク、秘密の話なら[禁]マークといった具合だ。ツールバーにある[次のページへ進む]ボタンを押すと次のデータの入力になる。書き終わったら入力したデータをデータファイルに保存しよう。

 1つのカードデータには、テキストと一緒に画像ファイルを登録することもできる。画像ファイルの登録方法には2種類あり、一つはハードディスクに保存してある画像ファイルのパスだけを登録する方法だ。画像登録ダイアログを開いてファイルを指定すると、画像はテキストエディットボックスの右側にサムネイル表示されるが、画像ファイルそのものはデータとして取り込まれないので、元の画像ファイルをエクスプローラで移動したり削除してしまうとサムネイルも表示されなくなる。もう一つの登録方法は、画像をデータ内部に取り込んで保存する方法だ。データ内部に取り込むことにより元の画像を削除しても画像が表示されなくなってしまうことはない。ただしデータファイルサイズが大きくならないよう、画像はモノクロ2値化してデータファイル内部に取り込むようになっている。プレビューを見ながらスライドバーで濃度を調節してモノクロ2値化でき、取り込んだ画像はメインウィンドウ上部の画像参照ボタンを押して参照できる。

 データの検索方法には2通りある。一つはデータ一覧からキーワード検索する方法で、別ウィンドウにすべてのデータを一覧表示し、そこから検索メニューを選んでメモ内容やジャンル、タイトルなどからキーワード検索できる。このときAND/ORによる検索やあいまい検索、検索結果の絞り込み検索、複数のデータベースファイルから横断検索することが可能だ。さらに、データベース内のキーワードを別のキーワードに一括置換することもでき、後日の管理メンテナンスがしやすくなっている。もう一つの検索方法は“クイックサーチ”で、ジャンルまたはマークをリストから選択し、該当するデータをメインウィンドウに順番に表示して閲覧する。

 なかなか便利なのがこのジャンルとマークによるクイックサーチだ。例えばデータのテキスト本文に「先日の内閣官房長官の辞任劇は情けないやらあきれるやら。」などと書いていた場合、あとで政治の話題を探し出すために「政治」という言葉でキーワード検索しても、このテキスト本文には「政治」という言葉がないので単なるキーワード検索では引っかからない。そこであらかじめジャンル登録しておけば、クイックサーチで[政治]をジャンル指定することで簡単に探し出せるようになるというわけだ。アイコンマークも、多数のカードをざっと流して読む場合に一見して内容を推定でき、非常にわかりやすい。

 さらに、検索結果をHTMLに出力できるのも特筆すべき点だろう。出力結果はTABLEタグにより、ちょうどWeb BBSのように1データずつがテーブル枠で区切られ、複数のデータが縦に並んだ形で1ページ内に表示される。フレームを使って左側に目次をつけたり、フォントや色の指定、背景画像の指定も可能だ。データの中に画像を登録していれば、画像も一緒に表示できる。フレームの使い方を変えるといったレイアウト変更はできないため、このソフト単体でホームページを作るには無理があるが、レイアウトにはあまりこだわらずにWebコンテンツの1つにするなら十分な機能だ。例えばデジカメで撮り溜めた写真にコメントをつけたデータベースから、最近行った旅行に関するものだけを検索してHTML出力し、自分のホームページに旅行記としてアップロードして仲間に見せる、といった用途には大いに役立つだろう。

ここがスゴイ!……多彩な検索、HTML出力機能で簡単にWebコンテンツになる

画像をモノクロ2値化して内部登録  ちょっとした用途に手軽に使えるというのがやはりこのソフトの基本的な魅力だ。汎用データベースといえば、ややもすると「MS Access」のような巨大アプリケーションを想像して敷居が高いイメージがあるかもしれないが、このソフトは難しいことを何も覚えなくても、誰でも簡単に使いこなせるだろう。また、蓄積したデータベースをしっかり活用するためのさまざまな工夫があることも見逃せない。検索一つをとっても、単なるキーワード検索だけに頼らずに複数の検索方法を用意し、アイコンマーク表示などカードをざっと眺める場合のことも考慮されているのは大きい。またHTML出力ができるということも、個人でホームページをもつことが珍しくなくなった今の時代には、データベースソフトとして不可欠のポイントだろう。蓄積した情報は、活用してこそ意味があるからだ。

こんな場合に便利……ネタ帳や日記、写真画像の整理にも

データベースをAND条件で通常検索  とにかく肩肘張らずにイロイロな用途に使いたい。日常的に記録する日記やネタ帳、また詩集や俳句集、用語集にも使えるし、画像を扱えるのでアルバムソフトにもなるだろう。マニュアルに使用例として書かれている中で面白いと思ったのは、定型文入力ツールのような使い方だ。よく使う関数セットなどを登録しておき、編集メニューの[すべてコピー]を利用することでプログラミングのときに呼び出してソースに貼り付けたり、HTMLのテンプレート集にすることもできるだろう。

使用上の注意は?……起動時のファイル選択と画像の読み込みに注意

 ただ、実際に使ってみていくつか気になった点もある。例えば、最初に起動したと きに、毎回「無題」の新規データベースファイルが開いてしまうことだ。できれば2 回目以降の起動時は、前回保存したファイルを自動的に開くようになるか、ファイル メニューに履歴が現れるようになるとわかりやすいだろう。また、画像の指定は今後 ぜひドラッグ&ドロップにも対応してほしい。そのほか筆者が使ってみた限りでは、 BMP形式の画像の表示がおかしくなったり、エラーメッセージが出ることがあった。 読み込める画像も現在のようにJPEGやBMPだけでなく、Susieプラグイン対応にするな ど対応形式の拡張が望まれるところだ。

【著作権者】田中 佑典 氏
【ソフト種別】フリーソフト(カンパウェア)
【バージョン】1.6

□作者: 田中 佑典
http://www.vector.co.jp/vpack/browse/person/an023887.html

(ひぐち たかし)

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