ひぐちたかしの新作ソフト紹介


【第97回】

「美樹のクローゼット」

衣替えの前に! 洋服やアクセサリー類を管理するカード型データベース

(00/09/18)

 9月も半ばを過ぎ、少しずつ秋らしい気候になってきた。多くの学校や会社では来月1日に衣替えを迎え、街ゆく人々の装いも秋らしく変わることだろう。ノースリーブなどの夏服はクリーニングに出し、秋物の洋服をそろそろ引っ張り出すこの時期、『去年買ったあのスカートはどこへしまったっけ?』『あの帽子はどこにしまい込んだかしら』とタンスや押し入れを引っかき回す人も多いのではないだろうか。そこで今回は、衣替えの前にオススメしておきたい、洋服やアクセサリーをパソコンでスマートに管理するためのデータベースソフトを紹介しよう。

どんなソフト?……服飾専門のカード型簡易データベースソフト

「美樹のクローゼット」v0.10  「美樹のクローゼット」は、手もちの洋服やバッグ、アクセサリーなどを登録して管理する服飾専門のカード型データベースソフトだ。服飾アイテムごとに、ブランドや色・柄、保管場所などのデータを記録、さらにデジカメ写真などの画像を登録できる。覚えている服飾アイテムの特徴で条件検索すれば、その保管場所をいつでも簡単に調べられるので、タンスや押し入れの奥にしまい込んだものでも、半年後にどこへしまったか忘れてあちこち引っかき回して探す必要がないというわけだ。

 「美樹のクローゼット」に1つの服飾アイテムを登録する場合、10数種類にわたる分類項目について、それぞれに用意された複数の選択肢の中から1つを選んで登録していく。例えば[季節]という分類項目には、春物、夏物、オールシーズンなどの選択肢がプルダウンリストに表示され、そのうちの1つをマウスで選ぶ。[保管場所]という分類項目にはクローゼット、タンス、ドレッサー、収納ボックスなどの選択肢があり、1つをマウスで選ぶといった具合だ。中には[ステータス]の分類項目として「クリーニング済」「貸し出し中」といった状況を登録できたり、購入したものかプレゼントかを区別する[入手方法]、パーティ用、通勤用、普段着などから選ぶ[ランク]といった、服飾品ならではの分類項目もある。

 これら分類項目の選択肢は自分で追加したり書き換えることも可能で、例えば[種別]の項目の中には[スーツ]、[ジャケット]、[スカート]、[ワンピース]などの選択肢が標準で用意されているが、「美樹のクローゼット」のウィンドウ上部にある[設定]タブを開けば分類項目別に選択肢の内容が一覧表示され、[種別]の列の一番下に新たに[チョーカー]などと書き加えたり、[スカート]を[短パン]に書き換えることもできる。さらに分類項目についても、ユーザーが自分で任意の分類項目を2つまで新たに追加することが可能だ。

 多数のアイテムを「美樹のクローゼット」に登録した後は、必要な服飾アイテムのデータを簡単に検索して表示できる。「美樹のクローゼット」のウィンドウ上部にある[検索]タブを開き、探したい服飾アイテムの条件を分類項目ごとに選択肢からマウスで選んで、[条件を満たすもののみ表示]のボタンをクリックするだけでよい。例えば[種別]を「ジャケット」、[ランク]を「パーティ用」、[色、柄]を「ベージュ」と指定して[条件を満たすもののみ表示]のボタンを押すと、3つの条件を満たすアイテムが同じウィンドウ内に一覧表示される。ただし、検索結果の一覧リストでは、通し番号、品名、種別、季節、ランク、保管場所、ブランドの7項目しか表示されない。7項目以外の[素材]などの項目や、写真画像を見たい場合は、検索結果リストに表示された[通し番号]を覚えておいて、ウィンドウ上部の[データ入力]タブから最初の画面に戻り、データ移動ボタンでアイテムデータを切り替えて目的の通し番号のデータを表示する必要がある。

 そのほか服飾アイテムの登録データは、種別、季節、ランク、保管場所、ブランドなどの項目で並べ替えて順番に表示することも可能だ。例えば保管場所でデータを並べ替えれば、どんなものがどこにあるかといった所有アイテム全体の保管状況を把握しやすく、保管場所一カ所ごとに検索して全体の保管状況を把握するといった手間もかからなくなる。

ここがスゴイ!……「秋物の勝負服」「○○君からのプレゼント」でも検索できる

条件検索でアイテムを探し出す  「美樹のクローゼット」のスゴイところは、その着眼点と手軽さだろうか。日常生活の中で大量に溜まりがちな服飾品に目を向け、用途を特化することで誰でも簡単にパソコンで管理できるようにした点がなかなか面白い。筆者の周囲の女性に聞くと「買った服がどこにあるかくらい覚えているわよ」という返事も返ってきたが、その一方で昔から事あるごとにバッグがない、帽子がない、スカーフがない、と家中をかき回した姉や母を思い出す。ちゃんと覚えているつもりでも、いざ必要なときになるとド忘れして見つからないものなのだ。このソフトで管理しておけばド忘れにも安心だ。

 また、大量にある服飾品をさまざまな条件で検索できるのはありがたい。「秋物の勝負服」とか「柄はよく覚えてないけど3年前に○○君にもらったスカーフ」といった探しにくい条件でも、タンスの奥にしまい込む前にデータとして記録さえしてあれば、いつでもすぐに保管場所から引っ張り出すことができるはずだ。

こんな場合に便利……忘れっぽい人に、衣替えの前に

設定で分類項目の選択肢を追加  服をたくさんもっていてどこにしまったか忘れてしまいがちな人、ファッションにうるさい人には特にオススメのソフトだ。また、最近流行の“ウォークインクローゼット”やロフトのように、比較的大きな収納スペースがある家に住んでいる人の場合も便利だろう。衣替え前の今のうちにコツコツとデータベース化しておけば、半年後に慌てなくて済みそうだ。また、バーゲン前にこのソフトで自分が所有している服飾品をざっと振り返っておけば、バーゲンで買った服とそっくり同じ服を実はもっていた、などというありがちな笑い話も防げるだろう。

使用上の注意は?……キー操作に注意、画像は1枚ずつしか見られない

 さて、実際に使用してみるといくつか気になる点もあった。まず、データ入力時に、入力した項目から次の空欄へのカーソル移動を[Tab]キーで行おうとすると、入力欄の上から順番にカーソルが移動せず、バラバラな場所に移動してしまうようだ。こういったデータベースソフトではデータ入力に最も時間がかかるものなので、マウスでもキーボードでも順番にデータ入力できるほうが、効率がいいだろう。また、検索結果で一覧表示されるアイテムについて、主要な7項目しか登録データを見ることができないのは惜しい。やはり画像を含めたすべてのデータが表示されるようにするか、一覧リストをクリックすれば自動的にデータ入力ウィンドウに戻って該当アイテムのデータが表示されるような仕組みが望ましいだろう。また、せっかく画像を登録できるのだから、複数の画像を上下や左右に並べられるようになってほしい。ジャケットとパンツのようにアイテムの画像を並べて、簡単なコーディネートができるようになれば、さらに便利になりそうだ。

【著作権者】渡辺 貴志 氏
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】0.10(00/09/04)

□作者: 渡辺 貴志
http://www.vector.co.jp/vpack/browse/person/an008428.html

(ひぐち たかし)

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