ひぐちたかしの新作ソフト紹介


【第96回】

「Gaucho」

文字数確認や添付ファイル圧縮など“一つ上をいく”使いやすさのメールソフト

(00/09/11)

 メールソフトを選ぶ際に最も重要なポイントは、やはりメールを送受信し、管理するなどの基本機能の使いやすさだろう。「ポストペット」などは使って楽しいが、感じとしてはデートでフランス料理を食べるようなもの。毎日の食事はやっぱり和食だ。そのなかでも白いご飯にこだわりたいし、できれば最高の米を使ったのがいい。そんなイメージにぴったりくる、研ぎすまされた基本機能をもち、毎日使い続けるのにふさわしい“実用第一”のメールソフトを紹介しよう。

どんなソフト?……しっかりした基本機能に使いやすさが加わったメールソフト

「Gaucho」  「Gaucho」は、今の時代に求められる必要十分な基本機能を備え、さらにプラスαの使いやすさが加わったメールソフトだ。左側にフォルダツリー、右側上部にメール一覧、右側下部にメール本文を表示するという最近流行の3ペイン型ウィンドウをもち、POP3&IMAP4両対応、マルチアカウント・マルチユーザー対応、APOP対応、署名の使い分け、テンプレート機能、メール受信時のフォルダ振り分け、関連メールを階段状に表示するスレッド表示、HTMLメールの表示(作成不可)などなど、今では当たり前になりつつある多くの機能を備えている。

 特長的な機能としては、まずメールの文字数確認機能があげられるだろう。携帯電話のように受信文字数が制限される相手にメールを出すときに便利な機能で、メール作成ウィンドウの下端にあるステータスバーに、メール本文が全角何文字分あるかをリアルタイムに表示する。また、表示メニューから[メールの文字数確認]を選ぶと、小さなウィンドウが開いて、宛先、件名、本文、合計の文字数をそれぞれ一覧表示する。携帯電話とメールをやりとりする機会が増えた昨今だから、文字数の確認機能が標準で備わっているのはありがたい。ただし単に文字数を表示するだけで、一定の文字数をオーバーすると警告メッセージが現れるといった機能ではないので注意。

 クリップボード経由で画像を添付できるのもユニーク。レタッチソフトで編集した画像や[PrintScreen]キーでスクリーンキャプチャーした画像などをクリップボードに取り込んでから「Gaucho」のメール送信ウィンドウに貼り付ければ、ファイル名と画像形式を選ぶダイアログが現れ、すぐに添付ファイルにすることができる。このとき選べる画像形式はBMPまたはJPEGのみとなるが、一旦ファイルに保存しなくてもいいので手間いらずだ。また、Webブラウザーで表示している画像をドラッグ&ドロップで送信メールに添付することもできる。

 ファイルを添付するときは、ファイルをあらかじめ圧縮ソフトで圧縮しておかなくても、ファイル添付操作のあとで圧縮したり1つのアーカイブにまとめることができる。メール作成ウィンドウにファイルをドラッグ&ドロップすると、ウィンドウの右側に枠が現れてドロップしたファイルのアイコンが並び、枠の上部にファイルサイズの合計と[圧縮する]ボタンが表示される。このボタンを押して、LHA/ZIPの圧縮形式を選んだりファイルを1つにまとめるかどうかといった圧縮オプションを指定すると、指定した通りに添付ファイルが圧縮される。ただしファイル圧縮機能を使うには、“UNLHA32.DLL”などの対応DLLが必要だ。

 送信するメールの宛先や件名によって複数の署名を自動的に使い分けられるのも特徴の一つだ。すなわち例えば、普段は凝った絵文字を描いた署名をつけ、宛先アドレスに「@docomo.co.jp」を含むiモード宛のメールには名前だけのシンプルな署名を付けてメールの文字数を少なくするといったことが簡単にできる。また、社内のメールアドレス宛なら内線番号を書いた署名に、社外宛には代表番号を書いた署名にするといったことも可能だ。これには署名をあらかじめ複数作成しておき、設定メニューの[署名の自動追加設定]で選択条件を設定すればOK。選択条件には優先順位もつけられる。

 そのほか、メールの自動チェック間隔を時間帯で細かく分けられるのも“小ワザ”ながら便利な機能だ。つまり例えば、午前9時から12時までは仕事の邪魔にならないように30分おきにメールチェックして、メールが多くなる昼休みの12時から1時までは10分おきのチェック、取引先との連絡が増える午後1時から17時までは15分おきのチェック、といった設定ができるわけだ。

ここがスゴイ!……地味でも味のある使いやすさとバランスの良さ

宛先によって署名を自動で使い分ける  総じて「Gaucho」には「コレがスゴイ! 素晴らしい!」といった特筆すべき“目玉”の機能があるわけではないが、その分ユーザーが使いやすいようちょっとした工夫が随所にある。どれも堅実な機能でハッキリ言えば「地味」に感じるかもしれない。しかし地味で堅実な工夫だからこそ、キャラクターの可愛さや目新しい面白さと違って、毎日使っても飽きのこない良さを感じることだろう。まさに毎日食べても飽きない「ご飯にお味噌汁」のようなソフトというわけだ。しかもそれは決して古めかしく質素という意味ではなく、今人気の宮城産“ひとめぼれ”を売れ筋の“遠赤外線厚釜IHジャー”で炊いたご飯のような、最新の技術を使って作られた「堅実さ」なのだ。どんなに面白い機能が備わっていても基本がしっかりしていないバランスの悪いソフトはそのうち使わなくなるものだが、「Gaucho」はその点でも安心だ。

こんな場合に便利……ビジネスとプライベートの使い分けに

添付ファイルを簡単圧縮  魅力たっぷりの目玉機能がないという意味では、今お使いのメールソフトを十分に使いこなせているという自信がある人に無理にでもすすめるようなソフトではないが、『今のメールソフトには便利な機能がいろいろあるらしいが結局使っていない』『もうちょっと簡単で使いやすくなればいいのに』と感じているなら、一度「Gaucho」を使ってみてほしい。特に、知人とファイルや画像の交換をよく行う人や、仕事とプライベートを使い分けられるメールソフトを探している人には、試用をオススメしておきたい。

使用上の注意は?……添付ファイルの圧縮とメールアカウント初期設定に注意

 実際にしばらく使ってみて特に大きな不具合はみつからなかったが、試した限りでは添付ファイルを圧縮するとき、送信ウィンドウの[添付]ボタンで「My Documents」のような空白スペースのあるパス名をもつファイルを選択し、[一つのファイルに圧縮する]オプションをOFFにしてLHA形式で圧縮しようとすると、ファイル添付が解除される現象がみられた。単純な不具合と思われるが現バージョンを使うときには気を付けよう。また、インストールして最初に起動したとき、メールアカウントなどを初期設定するウィザードが自動的に立ち上がらないのも気になった。アカウントの設定ダイアログで下部にある[新規作成]ボタンを押せばウィザードが始まるのだが、ボタンに気がつきにくく戸惑ってしまう人もいるだろう。まだβリリースなので、正式版ではこのあたりのメール初心者対策も十分に考慮されることを期待したい。

【著作権者】NakedSoft(Hiroshi Uemura) 氏
【ソフト種別】β版フリーソフト(予価3,000円)
【バージョン】Beta7

□Hiroshi Uemura
http://www.bekkoame.ne.jp/~hiroshi-u/

(ひぐち たかし)

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