【第1回】

ネットアイドルを自分の手でつくりあげよう!

(00/09/08)

 ちょっとインターネットを眺めていると、いたるところで“ネットアイドル”に遭遇する時代。自薦他薦を問わず、ホームページ上で個性を強烈にアピールしている。我らが窓の杜でもネットアイドルくらい抱えていなければ! ということで、窓の杜アイドル、略して“杜ドル”をプロデュースことになった。ポスターのようなイメージフォトやオリジナルソング、そしてプロモーションビデオまでつくって、ネット配信してしまおうというわけだ。もちろん制作ツールはすべてオンラインソフトだ!

“杜ドル”企画が決まるまで

ネットアイドルつくりませんか?  それは本格的な夏が始まろうとしていたある日のことだ。ワタクシことモッティは窓の杜編集部に呼び出され、打ち合わせルームにて担当K氏と副編集長Y氏の両名と対面していた。次のClose-Up!のネタの件か、はたまた「お前の原稿はなっとらん」とお叱りを受けるのか、ちょっとビクビクしていたことは覚えている。「連載の件なんです」とK氏に切り出されたとき、いままでの緊張がほぐれ、暖めていた企画を両氏の前でぶちまけた。その後、おもむろにY氏は口を開いた。「オンラインソフトを使ってネットアイドルつくりませんか? 窓の杜だから、杜ドルっつーことで。モリドル、いいねぇ~。」

 「んぁ」という2文字をぐっと押し込みY氏の方ををうかがうと、Y氏的にはすでに杜ドル企画で決定しているような充実した笑みをたたえている。K氏も激しく同意しているらしい。場の雰囲気的には“杜ドル”が圧倒的に支配している。モッティ的にはネットアイドルの現況をつぶさにリサーチしているわけではないので、この企画はかなりヤバ目だ。「もちろん、モッティさんの得意なフィールドにもっていってください。グラフィック系のライター兼編集さんですから、そっちの方向を期待しています」とK氏。あぁ、このひとことで何とか助かりそうだ。でもまだいろいろと懸念がある。「えーと、企画の方向性なんですけど……」と言いかけたときに、「じゃ、9月の初めから連載スタートです。よろしく。じゃ」と言い残し、両氏は席を立った。頭の中にはスターウォーズ帝国軍のテーマが鳴り響き、「急展開。」という文字が駆け抜けていった(番組違うけど)。

ネットアイドルの傾向と対策を探れ!

ネットアイドルコミュニケーション統合サイト「FunFanファン!」
ジャストネットでは、ネットアイドルコミュニケーション統合サイト「FunFanファン!」を開設している。
 モッティの懸念とは、ネットアイドルをどういう風に売り出すのか? ということだ。決まっているのはオンラインソフトを使うということだけ。じゃぁ、ひとつリサーチから始めようということで、ネットアイドル系のホームページを探索し、傾向と対策を考えてみた。ここで対象となるのはプロダクションや企業が大々的に売り出しているネットアイドルではなくて、個人的にホームページを展開しているネットアイドル。いくら窓の杜のアイドルであっても、つくりだすのはこのモッティひとりなのだ(涙)。

 ネットアイドルたちのホームページを探索しているうちにつかめた傾向。それは、ほとんどのページが写真のギャラリーと日記で構成されていること。グラフィック的な要素としては写真のレタッチとか、自分で描いたイラストが多い。これだったらフォトレタッチソフトやペイントソフトを使えばモッティにも何とかなりそうだ。BBSやチャットを設置しているホームページもかなりの数にのぼる。CGIやJavaのプログラミング記事としてもOKかも。

 でも、待てよ。せっかく新しいネットアイドルを誕生させるのに、人と同じことをしていてもつまらない。個人でもできるネットアイドルの新機軸は……と頭をひねるうちにK氏の「得意なフィールドに持っていってください」という言葉を思い出す。なーんだ、ビデオつくればいいんじゃん! ネットアイドルをストリーミングビデオで売り出す! 何かいけそうな気がしてきたぞ!

ネットアイドルもストリーミングの時代だ!

「Giga Link AV Capture/Codec」
「Giga Link AV Capture/Codec」
 というわけで、杜ドルの大まかな方向性は決定した。キーワードは“ストリーミング”。オンラインソフトを使ってプロモーションビデオをつくり、それをネット配信するというものだ。これなら、ネットアイドル自身の意向に加えて、ビデオをつくる側の意向も作品にかなり反映されて、プロデューサー的な役割も体験できる。自分の彼女や奥さん、子供、はたまた近所のカワイイ女の子をモデルにして、自分なりのネットアイドルをつくりあげる! どうですか? やってみたくなったでしょ。やってみたくなったかも。やってみたいな。いーえ、やってみたい!!!! 編集部に恐る恐る打診したところGOサインも出た! プロモーションビデオをつくるのに使えそうなオンラインソフトを順を追ってピックアップするべしとの指令も授かった。やっとここから窓の杜っぽくなるぞ!

 まず必要なのはビデオカメラで撮影した映像をPCにキャプチャーするソフトだ。今回はDVカメラを使って、OHCI準拠の標準的なIEEE-1394ポートからキャプチャーすることにする。「Giga Link AV Capture/Codec」は独自の参照型コーデックを使い、2GBを超えるAVIも生成できるビデオキャプチャーソフト。IEEE-1394に接続されたDVカメラ/デッキのリモートコントロールも可能だ。キャプチャーしたAVIに特殊効果やCG合成も加えてみたい場合、3D CGソフトを使うというのも手だ。「Blender」はモデリング、アニメーション、レンダリングからビデオ編集までカバーする統合型3D CGソフト。シャドウマップを使うことにより、レイトレーシングを使わなくても高品質の画像を生成する。v2.0からはインターフェイスも刷新されて、Windowsユーザーにもわかりやすいものになった。

「Music Studio Standard」
「Music Studio Standard」
 ビデオは動画と音が融合したメディアだから、音のことも忘れちゃいけない。MIDIでオリジナルソングをつくって、それを音声ファイルに録音。ビデオのBGMとして使うことにしよう。「Music Studio Standard」はMIDIシーケンサーとハードディスクレコーダーがひとつになった統合型ソフト。音声ファイルへの強力なエフェクト機能も備えている。音関連はこれひとつでOKだ。ネットで配信するにあたって、AVIファイルをMPEGやWindowsMedia、Realなどのストリーミングに適したファイル形式に変換する必要がある。「TMPGEnc」はAVI形式の動画ファイルをMPEG-1、MPEG-2形式の動画ファイルに変換するソフトウエアエンコーダー。画質、フレームレートなどの調整はもとより、データ転送量やGOP構造などの専門的な設定が可能だ。

 これ以外にも、ビデオづくりに使えるオンラインソフトはいっぱいあるはずだ。そのときどきの状況に応じて使い分けていくことにしよう。…と、ここまで書いたところで編集部からの電話。「プロモーションビデオの具体的な方向性と、モデルさんをよろしくね~」。その後、編集部からの着信音を帝国軍のテーマに変更したのはいうまでもない。待て、次回!!!!!!!!

■「Giga Link AV Capture/Codec」
【著作権者】Mukai Tetsuji(Warlock) 氏
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】0.92(00/06/18)
□Warlock's Workbench on the Web
http://homepage1.nifty.com/warlock/

■「Music Studio Standard」
【著作権者】Frieve 氏
【ソフト種別】シェアウェア 2,000円
【バージョン】2.40(99/12/28)
□Frieve Home Page
http://www.yk.rim.or.jp/~frieve-a/

■「Blender」
【著作権者】Not a Number
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】2.02-beta(00/08/17)
□Blender;index
http://www.blender.nl/

■「TMPGEnc」
【著作権者】堀 浩行 氏
【種別】フリーソフト
【バージョン】β12-0.11.20.97(00/07/22)
□Hori Homepage
http://www.yks.ne.jp/~hori/

(望月 貞敏)

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