ひぐちたかしの新作ソフト紹介


【第95回】

「SaveSet」

レジストリ内の設定を個別にバックアップ! Windowsの各種設定を簡単コピー

(00/09/04)

 PCを買い換えたり新たに買い足すなどハードウェアを新しくしても、Windowsの壁紙や配色などのデスクトップ設定や、愛用しているアプリケーションのユーザー設定などは、今までと同じ環境設定を引き継いで使いたいものだ。手軽に環境を引き継ぐには、レジストリ内にあるカスタマイズ情報を取り出して新しいPCに読み込めばいいのだが、レジストリファイルをそのまま新しいPCにコピーすると Windowsが起動しなくなることもある。そこで今回は、レジストリ内にあるWindowsの各種設定やアプリケーション設定だけを個別に取り出して保存でき、その設定を別のPCへ移して安全にWindows環境を再現できるというソフトを紹介しよう。

どんなソフト?……レジストリ内の各種設定を個別にバックアップ

「SaveSet」v1.1.13  「SaveSet」は、レジストリに保存されているWindowsやアプリケーションの各種設定データを個別にファイル保存するソフトだ。レジストリにはWindowsの設定のカスタマイズ情報が保存されており、これをコピーすれば設定を新しい環境に引き継ぐことができるが、レジストリにはハードウェア情報なども保存されているため、そのままコピーするとWindowsが起動しなくなることもある。「SaveSet」は、レジストリの中からWindowsの設定に必要なレジストリキーだけを読み出して、設定の種類ごとに別々のREGファイルに書き出しておける。このREGファイルを新しいPCで読み込めば、ハードウェア環境の異なるPCにも安全に各種設定を復元/コピーできるわけだ。

 「SaveSet」では、デスクトップ設定やエクスプローラの表示設定などユーザーが一般によく変更するWindowsの設定を、リストから選ぶだけで簡単に保存できるよう、標準で設定保存メニューが用意されている。「秀丸エディタ」や「Explzh」など、著名な5種類のアプリケーションについても、好みにカスタマイズした設定を保存するためのメニューがあらかじめ用意されている。さらに任意のアプリケーションに関する個別の設定も、保存すべきレジストリキーの位置をユーザーが指定することで、安全かつ簡単にバックアップすることができる。

 「SaveSet」で保存できるWindowsの設定は、フォルダのWeb表示や隠しファイル表示などの[エクスプローラ]の設定、またタスクバーの配置やウィンドウ配色などを決める[デスクトップ]の設定、日付や時刻などの表示形式を決める[地域]の設定、プロバイダの接続情報を決める[インターネット接続]の設定、また[キーボード]、[マウス]、[ファイルの関連づけ]などがある。これらは最初から「SaveSet」にリストメニューとして用意されており、「SaveSet」のウィンドウ内に表示されるリストから1つを選んで保存ファイル名を指定し、[OK]ボタンを押すだけでREGファイルに保存できる。

 また、アプリケーションごとにユーザーが自分の好みで変更したカスタマイズ設定を保存したい場合は、同梱されている“application.ssd”を「SaveSet」のファイルメニューから開くと、アプリケーション名がリストに表示されるので、1つを選んで保存ファイル名を指定して、[OK]ボタンを押せばよい。「SaveSet」では、「秀丸エディタ」「Explzh」「NextFTP」「BZedit」「MS Office」の5種類のアプリケーションの個別設定を、リストから選択するだけで保存することができる。その他のアプリケーションのカスタマイズ設定を保存する方法についても同梱のHTMLヘルプに詳しく説明されており、手順に従って必要なレジストリキーの位置を記述したSSDファイルを作成すれば、アプリケーション個別の設定をREGファイルに容易に保存できる。

 保存したREGファイルは、マウスでダブルクリックするだけで現在のレジストリに読み込まれ、その旨がメッセージ表示される。ただしアプリケーションの設定を復旧する場合は、レジストリに読み込む前にそのアプリケーションを終了しておかないと正しく復旧できないことがあるので注意。Windowsの設定の場合は、復旧する設定の種類にもよるが、Windowsの再起動後に設定内容が反映される。

ここがスゴイ!……秀丸やMS Officeなどアプリケーションごとの設定も保存

アプリケーションのカスタマイズ設定も簡単保存  「SaveSet」のスゴイところは、レジストリそのものをユーザーが直接操作しないので、レジストリに関する詳しい知識をもたない人でも安全かつ簡単に、Windowsの各種設定を個別に保存したり、保存ファイルから読み込んで設定を個別に復旧/コピーできることだろう。確かにレジストリに詳しい人であれば、「SaveSet」を使わなくてもWindows標準の「レジストリエディタ」を使って各種設定をREGファイルに書き出し、別のPCにコピーすることは可能だ。しかしその場合、どんな設定がどこのレジストリキーに保存されているかをきちんと覚えている必要があり、毎回一つ一つレジストリキーを探し出して書き出すのは手間もかかる。「SaveSet」を使えば、リストから選択してマウスでボタンを押すだけで保存できるので、気軽にバックアップしておこうという気になる。

 また、アプリケーション個別の設定についても、「秀丸エディタ」や「MS Office」など著名なソフトは標準で設定保存メニューが用意されており、さらに任意のアプリケーションの設定を保存する方法についても、比較的容易に行うことができるのはありがたい。アプリケーションが設定に使用しているレジストリキーの位置は、それぞれのアプリケーションのヘルプファイルなどに書かれていることも多く、これを参照すれば簡単に設定保存メニューを「SaveSet」に追加することができるだろう。

こんな場合に便利……新しいパソコンへの設定コピーに、OS再インストール前に

REGファイルをダブルクリックすれば設定が復元される  既に書いてきたように、新しく購入したPCに今まで使っていたPCのWindowsの設定を移したい場合に使うと非常に便利だ。丸ごとバックアップしたレジストリをそのまま読み込むのでは危険と思われる、ハードウェア環境の異なるPCへの設定コピーに威力を発揮することだろう。もちろんそのほか、Windowsが不安定になったなどの理由でWindowsの再インストールが必要になったときにも使いたい。丸ごとバックアップしたレジストリを復旧すると不要なレジストリ設定までが復旧され、結局Windowsが不安定になってしまう可能性もあるが、「SaveSet」で必要最小限のレジストリ設定だけをバックアップしておいて復旧すれば、より安定したWindows環境を取り戻すことができるだろう。

使用上の注意は?……ログイン名やフォルダパスに注意

 さて、実際に使ってみて特に致命的な問題はなかったが、気になった点もある。最も大きな点は、このソフト自身の問題というよりもレジストリの設定を保存するというこのソフトの性質上の問題だ。たとえば、新しいPCに愛用のアプリケーションのカスタマイズ設定をコピーするために「SaveSet」を使うとき、古いPCと新しいPCでそのアプリケーションのインストールパスが異なると、新しいPCではアプリケーションが正しく動作しないことも起こり得る。同様に、Windowsのログイン名が異なる環境へアプリケーション設定のコピーを行うような場合にも、アプリケーションが動作しなくなったり起動しないトラブルが起こる可能性がないわけではない。新しいWindows上でREGファイルを読み込む前に、メモ帳などで開いてパスを書き換えるなどの方法で回避できることもあるが、インストールパスやログイン名が異なるWindows環境で「SaveSet」を使うときには、十分注意したい。

【著作権者】廣澤 典彦(HIRO) 氏
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】1.1.13(00/08/20)

□HIROjp
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(ひぐち たかし)

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