ひぐちたかしの新作ソフト紹介


【第91回】

「FolderMover」

フォルダをOSやプログラムの動作に悪影響が起こらないように移動させる

(00/08/07)

 セットアッププログラムによってソフトをインストールしたフォルダ(プログラムフォルダ)を、エクスプローラなどを使ってむやみに別の場所に移動したり削除してはいけない。これはWindowsの世界では“常識”といっていい約束事だ。もし守らずに移動すると、後でソフトを正常にアンインストールできなくなったり、関連付けられたファイルが開けなくなるなど、さまざまなトラブルが起こってしまう。しかしHDDを増設したときのように、できればプログラムフォルダを移動したいという欲求はしばしば感じることがある。一旦アンインストールしてから再度別の場所にインストールし直すのでは手間がかかるし、カスタマイズしたソフトの設定が初期状態に戻って困ることもある。そこで今回は、後でトラブルが起こらないようにフォルダを移動するためのソフトを紹介しよう。

どんなソフト?……OSやプログラムの動作に悪影響がないようフォルダを移動

「FolderMover」v1.2  「FolderMover」は、プログラムフォルダのように、エクスプローラでむやみに移動すると後でトラブルが起こってしまうフォルダを、移動後もトラブルが起こらないように安全に移動するソフトだ。フォルダ移動時に、レジストリ、設定ファイル、ショートカットファイルなどいろいろな場所に記録してある“移動元のフォルダパス”を“移動先のフォルダパス”に書き換えて一括修正するため、フォルダ移動後にプログラムのアンインストールができなくなったり、ファイルが開けなくなったり、ショートカットのリンクが切れるといったトラブルが起こらずに済む。修正処理では必ずファイルが上書きされるが、どのファイルが修正されるかは事前に確認できるため、バックアップも行いやすい。手軽に安心してフォルダを移動することができるのだ。

 基本的な使い方は簡単。「FolderMover」を起動するとメインウィンドウが現れるので、ウィンドウ上部の入力欄に[移動元フォルダ]と[移動先フォルダ]を入力する。すぐ右の[参照]ボタンでフォルダを指定すると入力が簡単だ。移動先フォルダをまだ作成していない場合は、移動先の親フォルダを指定しておいて、[移動先の形態]の設定を[移動元を移動先のサブフォルダとして作成]を選ぶといいだろう。あとはウィンドウ右上の[検索]ボタンを押すと調査が始まり、修正対象をリストアップしてくれる。修正対象がレジストリならそのキー値とデータ内容、ファイルならパスとファイル名が表示されるので、不安な人はこのリストを見ながら、修正されるファイルをバックアップしておこう。確認が終わって[開始]ボタンを押せば一括修正が始まり、数分後に完了のメッセージが現れて無事フォルダ移動が完了する。

 「FolderMover」が修正する対象は、デフォルトではレジストリ、ファイル、ショートカットの3種類で、ファイルはCドライブのルートフォルダ以下のINIファイルとBATファイル、ショートカットはWindowsフォルダ以下のショートカットに限定されている。通常はデフォルトのままで使用して問題ないが、あらかじめ修正すべきファイルがわかっている場合などは修正対象を種類や拡張子で限定したり除外することができる。バイナリファイルも修正対象に指定できるが、ファイルが壊れる可能性があるのでバイナリファイルを指定する場合は必ずバックアップをとっておくなど、十分な注意が必要だ。また、DATファイルやSYSファイル、REGファイルなど、修正対象に含めないほうがいいと思われる拡張子を指定した場合、事前に警告メッセージが現れるようになっている。

ここがスゴイ!……レジストリやINIファイル、ショートカットを一括修正

検索ボタンで修正部分を確認  「FolderMover」のスゴイところは、原則的にWindowsでは“すべきでない”とされているフォルダ移動の“タブー”にあえて挑戦したという点だろうか。レジストリや設定ファイルなどを熟知した上級者であれば、手動でレジストリを書き換えたり設定ファイルを置換して、トラブルが起こらないようにフォルダ移動を行うことは不可能ではない。しかしもちろん手間がかかるし、むやみにレジストリを書き換えることは危険を伴う。これを、レジストリやINIファイルなどの知識がない初心者でも比較的手軽に行えるようにしたのが「FolderMover」だと言える。プログラムの動作に影響が起こらないよう修正の必要なファイルを探し出し、一括して修正してくれるのはとても便利だ。

こんな場合に便利……HDDの構成を変えたとき

レジストリやファイルをすべて修正完了  表示される警告を無視するなど使い方を間違えれば、最悪の場合はシステムが起動しなくなるといった危険な面もあるため、万人にオススメできるようなソフトではない。しかし、バックアップの方法や拡張子の種類など、ある程度Windowsについての知識をもっている人にはオススメできるツールの一つであることは間違いない。HDDを増設してドライブが増えた場合や、HDDを整理していてプログラムフォルダの場所を変えたくなった場合など、HDDの構成を変えた後に使うと便利だろう。

使用上の注意は?……処理には時間が必要、バックアップは行うべし

 実際に使ってみると、想像していたよりも処理に時間がかかるのが気になった。CPUの処理能力やHDD容量など環境にもよるが、数分~数十分程度はかかることを覚悟しておこう。できれば時間的に余裕のあるときに使いたい。また、プログラムによっては完全にフォルダ移動に対応できないものもあるようだ。特にレジストリやINIファイル以外の場所にフォルダパスを記録しているソフトの場合にエラーメッセージが表示されるのは致し方ないところか。そのためにもバックアップはできるだけ事前に行っておくべきだろう。また、修正処理の際に共有違反が起こらないように「FolderMover」を使う前には他のすべてのプログラムを終了しておこう。

【著作権者】N.Sunagoya(IKA-C) 氏
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】1.2(00/07/14)

□IKA-C Software Presents!
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Bay/6854/

(ひぐち たかし)

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