【第89回】「ぶらぶら」
“ジョブ”と“ポケット”でサイト巡りがスイスイ！ 新感覚Webブラウザー
（00/07/24）インターネットにも慣れて毎日見るサイトがだいたい決まってくると、いつものサイトを見るのに“お気に入り”やブックマークのメニューから1つずつサイトを開くのが面倒に感じてくる人もいるだろう。そこで最近流行のタブ表示型ブラウザーのように、いつも訪れる複数のサイトを一度に開いてからタブで切り替えて見るのも悪くないが、見たいページの数が多いとタブの数が増えて逆に扱いにくくなってしまうし、Webブラウザーによっては最初のWebページをすべて読み込み終わるまでの時間が余計にかかることもある。そこで今回は、複数のWebページを手軽に行ったり来たり切り替えができる機能を備えながら、シングルウィンドウで扱いやすいWebブラウザーを紹介しよう。
どんなソフト？……URL巡回リストとURL一時保管機能を内蔵したWebブラウザー
「ぶらぶら」は、URLの巡回リストと一時保管機能を内蔵したWebブラウザー。IEのコンポーネントを利用しているため基本的な表示性能はIEに準じるが、特に複数のWebページを順に見て回るための操作性に特徴があり、よく見る“お気に入り”のサイトを“ジョブ”に登録しておくと、ボタン1つで次々に閲覧していくことができる。また、開いておきたいWebページを“ポケット”に一時保管することで、いつでもそのページへ戻ることができるようになっている。Windows 95/98用のフリーソフトで、動作にはVB 5.0 SP3ランタイムが必要だ。
「ぶらぶら」は、“ジョブ”と“ポケット”という機能をもっている。“ジョブ”はIEの“お気に入り”のように任意のURLをあらかじめ登録しておく機能だが、“お気に入り”のようにURLを1つずつ個別に登録して管理するのではなく、“ジョブ”と呼ばれるグループの一覧リストに複数のURLをまとめて登録しておく。URLを登録後、メインウィンドウから任意の“ジョブ”を選択すると、リストの先頭に登録したWebページが表示され、以降は[＞]ボタンを押すだけでリストの上から順に次のサイトを開けるようになる。また[＜]ボタンで1つ前のWebページ、[|＜]ボタンでリストの先頭、[＞|]ボタンでリストの最後のWebページをすぐに開ける。さらにジョブは複数を登録して管理でき、たとえばニュース系のサイトばかりを登録したジョブ、ダウンロード系のサイトばかりを登録したジョブといった具合にジャンル分けして、メインウィンドウのプルダウンメニューから目的のジャンルのジョブ名を選択すれば、そのジャンルのWebサイトを順番に巡回することが可能なのだ。
一方“ポケット”とは、今見ているWebページを一時的に保管しておくための機能だ。といってもページのHTMLファイルや画像を保存するわけではなく、URLをメモしておく感じになる。メインウィンドウ上には白いポケットの形をした3つのアイコンがあり、どれか1つをクリックすると現在のWebページが一時保管され、空のポケットが物を入れたようなポケットに変わる。またこの状態で右クリックすると保管が解除され、“ポケット”アイコンのデザインも元に戻る。“ポケット”にWebページを一時保管すれば、そのページからリンクをたどって先へ先へとページを読み進んでも、先程保管した“ポケット”をクリックすることで直ちに保管されていたページへ戻ることができるわけだ。一時保管中は、“ポケット”アイコンにマウスカーソルを重ねると保管中のサイト名がチップヘルプのように表示されるのも、わかりやすくていい。
「ぶらぶら」のスゴイところは、やはり“ジョブ”と“ポケット”の使い分けによって複数のWebページを行ったり来たりするのがとてもラクになることだろう。“ジョブ”によってよく見るサイトの巡回がボタン1つででき、そこからリンクを先へたどりたくなった時でも今のページを“ポケット”に一時保管しておけば、いつでもすぐに戻ることができるのだ。巡回コースから離れずに“寄り道”が自由にできるのがとてもいい。ちょうど、タブ表示型ブラウザーでリンクを新規タブで開いてWebページを読み進んだ後、タブを閉じてすぐ元のページに戻るという動作を、タブを使わずに実現しているような印象を受ける。ウィンドウを複数同時に開くわけではないので、システムリソースの消費も少ない。
毎日見るWebサイトの定期的な巡回にオススメしたいWebブラウザーだ。ページを読んでいる途中でリンク先が気になったときも“ポケット”に今のページを一時保管しておけばいつでも元に戻って来られるという安心感があるので、リンクを先へ先へと深入りしてたどることができ、新たな“お気に入り”を見つけやすいだろう。システムリソースを気にせず読み進めるのも、メモ代わりにウィンドウを開いたまますぐ新規ウィンドウを開いてしまいがちな人にはオススメだ。
さて実際に使ってみたところ、目立った大きな不具合はなかったが、多少不便に感じた点はいくつかあった。まず、“ジョブ”に登録したサイトを順に見ていく場合、 [＞]ボタンで開く次のサイトはどこなのか、開いてみるまでわからないのが少々気になった。確かに[一覧から選択]ボタンを押してサイト名の一覧表を見れば確認できるのだが、たとえばチップヘルプなどでメインウィンドウからでも次に開くサイト名の確認ができるほうが望ましく感じられた。またURLをダイレクト入力するときは、IEのオートコンプリートや履歴に相当する入力支援機能がほしいところだ。
【著作権者】Kats Sakuma 氏
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】1.00（00/07/02）□Kats Factory
http://www.kats.cx/
（ひぐち たかし）
