【第77回】「回転体 for Win32」
グラデーションの美しい3D画像が簡単に作成でき、アニメーションも楽しめる
（00/04/17）本格的な3D CGを作成するソフトにはさまざまなものがあるが、高機能であればあるほど初心者には敷居が高くなりがち。簡単な球体を描きたいだけなのに、いろいろなことを覚えなければならず、挫折してしまった覚えのある人もいるかもしれない。そこで今回は、作成できる画像の種類は限られるものの、誰でも簡単に美しい3D画像を作成でき、ちょっとしたアニメーションも手軽に楽しめるソフトを取り上げてみよう。
どんなソフト？……線や図形を回転させた軌跡で3Dモデルを描く
「回転体 for Win32」は、同系色のグラデーションによって美しい3D風の画像を描けるソフト。その名の通り“回転体”、すなわちユーザーが描いた線や図形をある直線軸に対して360度回転させた軌跡として3Dオブジェクトを描くため、作成できる画像の種類は限られるものの、誰でも簡単に3Dグラフィックを楽しめるのが特長だ。Windows 95/98/NT 4.0で動作するシェアウェアで、現在作者ホームページからダウンロードできる。
「回転体 for Win32」ではユーザーはまず、回転させる前の図形を描く。直線や楕円、長方形など、ドロー系のグラフィックソフトと同様に図形を描けるようになっている。あとはメニューから[回転体表示]を選ぶだけ。描いた図形の回転体が別ウィンドウに自動的に表示される。例えば、回転前の図形として回転軸と平行な直線を描けば、回転体は円筒になる。また一辺が回転軸に接した直角三角形を描けば、回転体は円錐になる。回転軸から少し離れた位置に円を描けば、回転体はドーナツ型になるというわけだ。
回転体は陰影のついたなめらかなカラーグラデーションで表現されるが、ワイヤーフレームでの表示も可能。さらにオプションにより光源の明るさや位置、視点の角度や距離、回転体の色調、背景色、表示位置などを好みに変更して調整できる。また、メニューの[シミュレーション]機能で、回転前に描いた図形がどのように回転して3Dオブジェクトとして描画されるかをアニメーションで眺めるのも面白い。
「回転体 for Win32」では静止画だけでなく、作成した回転体画像から簡易アニメーションも手軽に楽しめるのがポイントだ。[アニメ]メニューを選び、現在表示している回転体の画像をコマとして“シナリオ”（複数のコマ画像のセット）に追加していく。そのとき各コマの画像が自動的にBMPとして保存される。例えば描いた回転体に対し、明るさや位置などの表示オプションを少しずつ変化させてはコマとして追加していくだけでもいいだろう。あとは[アニメ開始]ボタンを押せば、“シナリオ”に登録した順に画像が表示されてアニメーションになる。再生スピードはスライドバーで任意に調節することもできる。
作成した“シナリオ”は独自形式のファイルとして保存して、後からいつでも呼び出してアニメーション再生できる。保存された各コマのBMP画像を利用すれば、他の動画作成ソフトを使ってアニメーションGIFにしたり、AVI動画を作成することもできるだろう。
とにかく誰でも簡単に美しい3D画像を作成できるので、ちょっとしたCG素材に利用したり、ホームページの素材用にオススメしたい。ロゴなどの背景やページ飾りのアクセントにはよさそうだ。しかし手軽さの反面、作成できるのが回転体に限られるので、複数の3Dオブジェクトを組み合わせたCGを作ったり、少し凝った画像を得たい場合は、他のグラフィックソフトと組み合わせて使うといいだろう。
実際に使ってみた感じとしては、操作にとまどうようなことはほとんどないと思われる。ほぼ直感的に扱えるし、ヘルプも充実しているので安心だ。試した限りでは特に動作不具合もなかった。ただ欲を言えば、回転体を表示した後の視点や光源の位置の変更は、メニュー選択や数値入力ではなくマウス操作で直接オブジェクトを動かすように変えられるほうがやはりわかりやすいだろう。また回転前図形のウィンドウで複数の図形を描いた場合に、それぞれの図形ごとに異なる色をつけられる機能がほしい。これらは今後の改善に期待したい。
【著作権者】Heroicus（黒田 英雄） 氏
【ソフト種別】シェアウェア 700円
【バージョン】2.1（00/03/30）□page of Heroicus
http://www2.justnet.ne.jp/~heroicus/
（ひぐち たかし）
