【第71回】「テキスト・縦書きHTMLコンバータ」
テキストファイルをルビ付きで縦書き表示するHTMLファイルに変換
（00/02/28）小説や詩歌など、縦書きでないと違和感を感じるような日本語の文章をWebページ上で縦書き表示するための方法はいくつかあるが、意外に困るのがふりがな（ルビ）の問題だ。たとえば「風花」と書いて「ゆき」とルビをふったり、「上司」と書いて「ボス」とルビをふるといった具合に、漢字本来の読みと違うふりがなをつけて読ませる技法は、文学作品から雑誌、コミックに至るまで広く使われている。しかしこれをHTMLで、しかも縦書きで表記するとなるとかなり大変だ。そこで今回は、テキストを簡単に縦書き表示のHTMLへ変換し、さらにルビも付けることができるという面白いソフトを紹介しよう。
どんなソフト？……テキストから縦書きのHTMLを生成するコンバーター
「テキスト・縦書きHTMLコンバータ」は、その名の通りテキストを縦書きHTMLに変換してくれるコンバーターだ。変換後の縦書きの文章には句読点や括弧などの禁則処理や長音の縦変換もちゃんと行われるが、大きな特長として縦書きの漢字にルビを付けられることが挙げられる。ルビ表示に使うHTMLはWebブラウザーごとに対応状況が違うため、このソフトではIE4/5用のHTMLファイルとNN4用のHTMLファイル、およびIEやNN以外のWebブラウザー用のHTMLファイルをそれぞれ生成し、Webブラウザーの種類によってこれらのHTMLファイルに振り分けるJavaScriptが書かれたHTMLファイルまでも自動作成してくれるのだ。
使い方はとても簡単。基本的には横書きされた普通のテキストファイルを指定し、出力するHTMLのファイル名とページタイトルを指定するだけ。ふりがなを付ける場合は、あらかじめ元になるテキストにふりがな指定するための文字列を埋め込んでおき、変換時に［InternetExplorer用ファイルを出力する］または［NetscapeNavigator用ファイルを出力する］オプションをチェックしておくだけ。あとはボタン一つでHTMLファイルを生成してくれる。そのほか必要なら[タイトルを出力する]のオプションをONにすれば、Webブラウザーで表示したときにページ上部に大きくタイトル名が表示されるようになる。
このソフトのスゴイところはやはり縦書き表示にふりがなが使えることなのだが、その実現の仕組みがユニーク。IE5には文字列にふりがな（ルビ）を付けるためのRUBYタグが用意されているが、IE4やNN4ではサポートされていないし、RUBYタグは縦書き表示には使えない。「テキスト・縦書きHTMLコンバータ」では、このふりがな機能をIE4/5ではスタイルシート（CSS）で、NN4ではレイヤー機能を使って各Webブラウザー専用のHTMLを作成することで実現している。そしてIE4/5でアクセスした場合はIE用の、NN4でアクセスした場合はNN用のページを表示させる振り分け用JavaScriptまで自動作成してくれるのだ。なお、IE4/5でもNN4でもないブラウザーの場合はルビ表示にはならないが、ふりがなを付ける文字列の後にふりがなが縦のハイフン“｜”で挟まれて書き込まれたHTMLを作成し、これを表示するようになっている。
自作小説やエッセイ、詩歌などを自分の個人ホームページで公開している人にとってはうれしいソフトだろう。日頃から日本の文学に親しんでいる人ほどそれらを横書きで載せることに抵抗を感じる人は多いと思うが、ルビつきの縦書きのHTMLを作成可能なこのソフトはホームページオーナーに重宝されそうだ。また、生成されるHTMLには各ブラウザー専用のタグを利用するとはいえ、特別なプラグインなどを読者側が用意しなくてもいいので、誰にでも手軽に見てもらえるというのもポイントだろう。
生成されるHTMLは、ルビ付きの縦書き表示であること以外はいたってシンプルなものになる。背景色や文字色の指定などを行いたい場合は、生成されたHTMLをメモ帳やエディターで直接書き換えなければならず、基本的なHTMLの知識は必要になるだろう。また残念ながら現在のバージョンには、1行の文字数を調節したり1ページの行数を調節するような機能は用意されていない。ぜひ今後サポートされることを期待したい。
【著作権者】京 氏
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】0.7（00/02/12）□京屋トップページ
http://www.bea.hi-ho.ne.jp/miyakoya/
（ひぐち たかし）
