ひぐちたかしの新作ソフト紹介


【第69回】

「行間の広い読みやすいフォント」

目が疲れない! 行間をあけた新フォントを生成するフォントツール

(00/02/14)

 もともと英語圏で開発されたWindowsのシステムでは、横書きの日本語は行間が詰まって読みにくいという声を聞く。アルファベットを使う英文は基本的に小文字の比率が高く、大文字と小文字の高さの差だけ行間にスペースができるのだが、日本語には英文の小文字に相当するものがなく、高さいっぱいにドットを使って字が描かれるためだ。特にXGA以上の画面解像度でWebブラウザーウィンドウ幅を広くしている場合など、目が疲れるのはもちろん、行の折り返しでどの行まで読んだかを見失いやすくて困る。そこで今回は、フォント自体の行間を広くし、フォント設定が可能ならばどのようなアプリケーションでも文章を読みやすくするというツールを紹介しよう。

どんなソフト?……標準のMSフォントを元に、行間をあけた新フォントを生成

「行間の広い読みやすいフォント」実行画面  「行間の広い読みやすいフォント」は、Windows標準のMSフォントから、フォントデザインや字の大きさはそのままに、行間だけを広くした新しいフォント“JSフォント”を作り出すツールだ。パッチをあてるような形で生成する。行間が1.5倍程度に広がり、長い文章でもかなり読みやすくなる。元になるフォントは「MS P明朝」、「MS明朝」、「MS Pゴシック」、「MSゴシック」、「MS UI Gothic」の5種類。置き換えではなく新しいフォントを作り出すため、安全に試すことができ、好みのアプリケーションにのみ適用が可能だ。

 インストールも難しくない。配布ファイルを解凍後、バッチファイルを実行するだけで同フォルダにJSフォントファイルが生成されるので、[コントロールパネル]-[フォント]を選び、[新しいフォントのインストール]でインストールすればよい。最後にWebブラウザーやメールソフトなどで表示フォントをJSフォントに変更することも忘れずに。

ここがスゴイ!……パッチと同じ仕組みで簡単生成、効果絶大

 “たかが行間をちょっと変えたくらいで…”と思うなかれ。実際にやってみれば日本語の文章の読みやすさが格段に違うことにすぐ気付くだろう。なおWebブラウザーでは、ホームページ作者があらかじめHTMLにスタイルシート(CSS)を使って行間を広げているような場合、フォント自体の行間が広いとさらに行間が広がってしまいそうな不安もあるが、JSフォントではそうはならない。標準のMSフォントと同様に、ページ作者の意図通りの行間で表示されるので安心だ。また行間以外の特性はMSフォントとほぼ同じなので、一般的な外部フォントのように、サイズを小さくすると輪郭がぼやけたり潰れたりするようなこともない。

 標準でシステムにインストールされているフォントに差分パッチをあてるように新フォントを生成するので、配布ファイルのサイズはわずかに26Kバイト。ダウンロードもラクラクだ。生成されるJSフォントの合計は約17Mバイトになるので、HDDの空き容量だけは確認しておこう。

MS Pゴシック 新しく生成されたJS Pゴシックで表示
MS Pゴシック 新しく生成されたJS Pゴシックで表示

こんな場合に便利……Webやメールなど、読むアプリケーションで目が疲れない

フォントのインストールはコントロールパネルから行う  まずはお使いのWebブラウザーの標準フォントとして使ってみることをオススメしたい。日本語のプロポーショナルフォントに[JS Pゴシック]または[JS UI Gothic]を、固定ピッチフォントに[JSゴシック]を指定しておけば、窓の杜の長い記事も目がちらつかずかなり読みやすくなるはずだ。メールソフトの場合は、署名など文字絵の関係でフォント幅が固定ピッチのものを使うのが望ましいため、[JSフォント]の9ポイントあたりに変えてみればメール版窓の杜の印象がぐっと変わることだろう。

使用上の注意は?……表示のはみ出しや縦書きに注意

 行間が広くなるということは、1ページに表示できる行数が減るということでもある。何かのデータリストやプログラミングに用いるエディターなど、長文を読むよりも一覧性が重要なアプリケーションでは、1ページの情報量が減り縦スクロール量が増えることに留意しておこう。また日本語IMEによっては、変換候補一覧の表示がはみ出ることがあるので気を付けたい。さらにアプリケーションによっては、縦書きフォントを使うと文字幅が広くなりすぎる傾向があるが、これは仕様ということだ。

【著作権者】斉藤 和樹 氏
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】1.00(99/08/04)

□作者: 斉藤 和樹
http://www.vector.co.jp/vpack/browse/person/an018066.html

(ひぐち たかし)


お詫びと訂正:

 2000年2月15日から2月17日まで「一太郎」がインストールされているマシンでは、「一太郎」付属の同名フォントを削除しなければインストールできないと追記していましたが、編集部で検証した結果、「一太郎9」および「一太郎10」がインストールされているマシンでは、「一太郎」付属のフォントを削除しなくても問題なくインストールできることを確認いたしました。編集部での確認作業が不十分な状態で追記を掲載してしまい、読者の皆様や関係者の方々にご迷惑をおかけいたしたことを、深くお詫び申し上げます。

(窓の杜編集部)

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