【第65回】「ImageBook」
電子ブックやアドベンチャーゲームも作成可能なテキスト＆画像ビューワー
（00/01/17）デジカメで撮った写真や自分で書いた文章などを自分一人で楽しむだけなら、表示の速い使い慣れた画像ビューワーやテキストビューワーが便利だ。しかしそれらを誰かに見せることを考えたとき、さまざまな演出効果があるほうがぐっと楽しめるものになる。さらに選択肢をつけられれば、ちょっとしたアドベンチャーゲームにもなって面白そうだ。そこで今回は、電子ブックやアドベンチャーゲームも作れてしまうテキスト＆画像ビューワーを取り上げよう。
どんなソフト？……画像やテキストをインタラクティブに表示
「ImageBook」は、基本的には画像やテキストを表示するためのビューワーだ。画像なら同じフォルダにある画像をマウスクリックで次々と表示し、テキストなら文字を縦書きでフェードイン表示、クリックでページを切り替えて読み進められる。長いテキストはページが自動的に割り振られて画面左側に小さなウィンドウでリスト表示され、いつでも任意のページを開けるようになっている。
何より大きな特長は、独自フォーマットで書かれたソーステキストを用意すれば、画像にテキストを合成したり、サウンドやMIDIを再生したり、アニメーション表示させるといったインタラクティブな表現が可能になることだろう。ソーステキストやこれらの素材を一つのブックファイル（*.abm）にパッキングすることもでき、電子ブックやサウンドノベルを比較的簡単に作成できる。条件分岐による選択肢をつければアドベンチャーゲームも作成できてしまうのだ。
まずは同梱のサンプルファイルを開いてみよう。サンプルブックとサンプルゲームの2種類があるので、これらを見れば「ImageBook」を使ってどういったものが作れるかが簡単に理解できるはずだ。
元になる画像とテキストからサウンドノベルやアドベンチャーゲームを作るためのソースファイルの作成は、メモ帳やテキストエディターを使ってテキスト形式で行う。コマンド体系は独自だが、そう難しいものではない。HTML言語を覚えるのと同程度かもっと簡単といった感じだ。同梱サンプルのソースを参考にして改変していけば、一般的なプログラミング言語をまったく知らない人でも比較的容易に作成できるだろう。
なお画像表示はSusieプラグイン対応で、BMP/JPEG/GIF/PNGの形式の画像を扱えるほか、ゲーム用に適した16色のZCI形式の読み書きをサポートしている。ZCIは一般にGIFより高圧縮で展開も速いので、16色以下の画像であればZCIを用いるといいだろう。
ちょっとした電子アルバムから凝ったアドベンチャーゲームまで、用途は幅広い。ソースのコマンドを覚えなくても、好きな画像をフォルダにまとめてブックファイルにしておくだけでも、簡単に電子アルバムとして一括管理できる。もちろん意欲のある人なら本格的なゲーム作成にチャレンジするといいだろう。時間的な余裕のあるときに徐々に音をつけたり画像をつけたりしてコマンドを少しずつ覚えていくのがよさそうだ。
なお本ソフトは非商利用に限りフリーソフトとして提供されている。作成したブックを販売するなど商利用したい場合は、同じ作者からシェアウェアとしてリリースされている「ImageBook PRO」を使う必要がある。基本機能は同じものだが、ブック展開を不能にできたりブックに用いる文書や画像などのファイル最大数がフリー版の50から200に拡大されるといった機能拡張がなされている。
「ImageBook」の面白さや可能性はサンプルを見れば一目瞭然なのだが、いかんせんエディターでソースを記述するというのに難しさを感じる人もいるだろう。また通常のヘルプファイルが用意されておらず、コマンドリファレンスとしてはサンプルファイルやそのソースを見るしかないのも敷居が高く感じる一因になっているようだ。とにかくサンプルを利用していろいろなブックファイルを作ってみることが活用のための早道だが、タグ挿入型のHTMLエディターに対してWYSIWYG型のHTMLエディターがあるように、将来的にはこういったソース作成もすべてGUIでできるようになってほしいものだ。
【著作権者】TAKESI 氏
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】1.00b□ImageBook【電子ノベル・アルバム】
http://plaza2.mbn.or.jp/~ring_hp/
（ひぐち たかし）
