ひぐちたかしの新作ソフト紹介


【第64回】

「Tenkai」

3Dポリゴンモデルをペーパークラフトに! のりしろ付き展開図を一発作成

(99/12/20)

 パソコンで手軽に3DのCGを作成できるソフトがいくつか登場している。さまざまな角度に回転させたりグリグリ動かしたりして眺めて楽しむのもいいが、プラモデル好きの人なら自作の3Dポリゴンモデルを現実に手にしてみたいと思うこともあるのではないだろうか。そこで今回は、3Dポリゴンモデルをペーパークラフト用の展開図にしてくれるという面白いソフトを紹介しよう。

どんなソフト?……OBJ形式またはDXF形式の3Dポリゴンを自動的に展開図にする

「tenkai」v1.0.6  「Tenkai」は、その名の通り3Dポリゴンのモデルを平面に“展開”してくれるソフトだ。3Dポリゴンを表示し、ボタン一発で自動的に展開図を作成する。展開図を紙に印刷すれば、切り取ってペーパークラフトとして作成して楽しめるようになる。また展開図はEMF形式やEPS形式に出力できるので、他のワープロソフトなどで利用することも可能だ。

 なお「Tenkai」は展開図を作成するためのソフトであり、3Dモデリング機能はないので注意しよう。3Dモデルのデータは「Wavefront」のOBJ形式(テキスト形式)や標準DXF形式が読み込める。DXF形式は市販の3Dモデリングソフトやフリーソフトの「六角大王」などがサポートしているデータ形式なので、3Dモデルの作成にはこれらのソフトを利用するとよいだろう。

ここがスゴイ!……のりしろも自動生成、手動で思い通りの展開図に

手動で展開方法を指定することも可能  何よりスゴイのはその簡単さだろう。基本的には3Dデータを読み込んだあとボタン一つで展開図を自動作成する。さらにペーパークラフトとして楽しむために必要な“のりしろ”や、それをどこに貼り合わせればいいかを示す辺番号も自動的に付加してくれる。もちろん“のりしろ”や辺番号を付けないオプションも設定可能だ。展開ボタンを押した後は、画面上の3Dモデルは切り離される各辺が少し開いた状態で表示され、マウス操作により視点を変えたりズームイン/ズームアウトができる。多少複雑な立体でも、どのように組み立てればいいかが非常にわかりやすいのだ。

 また、面数が多いとか複雑な形であるためにひとつながりの展開図にできない場合は、自動的に複数のパーツに分解してくれるのもポイントだ。切り抜きやすいようあえて2つのパーツにしたいような場合も、切断する辺や基準面を順に指定していくことで思い通りの展開図にすることが可能になっている。

こんな場合に便利……作成した3D CGを実際に作って楽しみたい人に

設定画面  3D CGを描くことは、いわばバーチャルな創造作業だ。糊や絵の具で手を汚すことなくパソコンで手軽にできるかわりに、作ったモノに触れないため、実感が薄くクリエイティブな欲求が満たされないと感じる人もいるだろう。この「Tenkai」は、バーチャルな創作を現実の創作作業に変えてくれるという面白さがある。ペーパークラフトを趣味にしている人はもちろんだが、モノを手で触りながら作るという楽しさを忘れかけている人、また日頃子供たちと遊ぶきっかけが持てないお父さんにもオススメしたい。

使用上の注意は?……ポリゴンデータの面数に注意

 ただ、あまりに面数が多く複雑な形のポリゴンデータはそれだけ展開図も複雑になってしまうことに注意したい。サイズの大きな展開図は複数ページにわけて印刷することが可能だが、ペーパークラフトにして組み立てるのが難しくなるのは覚悟しなければならない。特に「Tenkai」で扱える3Dモデルは曲面を使わないポリゴンなので、曲面を多面体で表現した3Dモデルは展開図が複雑になりやすい。最初のうちは面数の少ないものから挑戦していくといいだろう。なお、シェアウェア未登録時は保存や印刷のできる3Dモデルの面数が制限されている。

【著作権者】Jun Mitani 氏
【ソフト種別】シェアウェア 2,000円
【バージョン】1.0.6(99/12/10)

□Jun's Paper Craft コーナー
http://www.page.sannet.ne.jp/jun_m/

(ひぐち たかし)

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