特集


オンラインソフトでオンラインソフトをつくろう!

プログラムの開発から配布ファイルの作成まで

(99/11/30)

 オンラインソフトを自分でも作ってみたいと思ったことはないだろうか。また、よく利用しているソフトがどのように作成されているのか、興味がある人も多いことだろう。オンラインソフトだけでなく市販のパッケージ製品も、「プログラムの元となるソースを作成」し、「ソースを実行ファイルに変換」してソフトの動作を確認した後、「ソフトのヘルプを作成」「ソフトのインストールプログラムを作成」という段階を経て、ソフトが完成する。

 市販の高価な統合開発環境を使えば、共通のインターフェイス・操作性で、ソースの作成から実行ファイルへの変換、インストールプログラムの作成までを一括して行えるが、オンラインソフトだけで気軽にアプリケーションを開発できないものだろうか。答えはYESだ。今回紹介するソフトでオンラインソフトを作って窓の杜に報告すれば、ニュース記事に取り上げられるかもしれないぞ!

■ プログラムの元となるソースを作成

 アプリケーションを作成するには、まずプログラムの元となる“ソース”を書かなければならない。ソースはプログラムの命令などが記述されたテキストファイルなので、Windows標準の「メモ帳」でも書くことはできるが、編集機能が少しもの足りない。プログラム言語のキーワードによる色分け表示や補完入力など、プログラム作成の支援機能がついたテキストエディターを使えば、効率よくソースが書けるはずだ。

40以上のプログラム言語に対応した開発者御用達テキストエディター「Peggy」

「Peggy」  プログラム作成を支援する機能が豊富に用意されたテキストエディター。C/C++、Java、Perl、各種アセンブラなど40を超えるプログラム言語のキーワードによる色分け表示に対応しており、自分でキーワード設定をカスタマイズ可能。キーワードの補完入力や、正規表現での検索、キーボードマクロの登録ができ、ファイルやフォルダの内容を比較することもできる。プログラムの動作を検証するデバッガや、ソースを実行ファイルに変換するコンパイラーなどの外部アプリケーションと協調動作させることができるので、統合開発環境としても利用可能。複数のファイルをプロジェクトとして一元管理することで、大規模なアプリケーションを開発する際も快適にプログラミングできる。

【著作権者】アンカーシステムズ(株)/(株)ノーリツ
【ソフト種別】シェアウェア 9,500円
【バージョン】2.16(99/09/29)

□アンカーシステムズ
http://www2.noritz.co.jp/anchor/

■ ソースを実行ファイルに変換

 テキストエディターで作成したプログラムのソースはテキストファイルのため、そのままでは動作しない。“コンパイラー”を使ってソースをEXE形式の実行ファイルに変換するか、“インタープリター”という特別なプログラムを介してソースを実行する。一般的なオンラインソフトは、前者の“コンパイラー”を使って実行ファイルの形式で公開していることが多い。

本格的なC言語によるプログラム開発環境「LCC-Win32」

「LCC-Win32」  EXE形式の実行ファイルを作成できるC言語によるプログラム開発環境。コンパイラーをはじめ、テキストエディターやデバッガ、アイコン作成ソフトなどが同梱されている。プロジェクト機能があり、複数のソースファイルを一括して管理可能。そのほかにも、大規模アプリケーションを複数人で開発するためのバージョン管理機能、 ダイアログボックスやメニューなどを作成するリソース編集機能、ソースファイル内で使用している関数などの一覧表示機能などがある。また、ホームページからは、プログラムの中で使用する関数のリファレンスもダウンロードできる。なお、内蔵のテキストエディターは日本語が入力できないので、ソースファイルの編集のみ他のテキストエディターを利用すると良いだろう。

【著作権者】Jacob Navia 氏
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】-(99/11/17)

□LCC-Win32 a compiler system for Windows 95 - NT by Jacob Navia
http://www.cs.virginia.edu/~lcc-win32/

昔の資産も活かせるBASIC言語開発環境「N88互換BASIC for Windows95」

「N88互換BASIC for Windows95」  NEC PC-98xxシリーズで利用されているN88-BASICと互換性のあるBASIC言語。場合によっては若干の修正が必要になるが、N88-BASIC用のソースをそのまま流用してWindowsアプリケーションとして実行できる。N88-BASICをそのまま移植しただけでなく、Windowsの特色を生かし、テキストエディターや強力なデバッグ機能などを搭載。「文法ヘルパー」機能で関数の一覧表を簡単に見ることができるので、これからBASICを学びたいという人もOK。また、行番号の自動生成や並び替えも手軽に行え、シリアルポートを利用した通信プログラムも作成可能。

【著作権者】潮田 康夫 氏
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】1.07(99/09/09)

□窓の杜 - プログラミング
http://www.forest.impress.co.jp/program.html#n88basic

実行ファイルも作成できるお手軽スクリプト言語「Hot Soup Processor」

「Hot Soup Processor」  EXE形式の実行ファイルも作成できるインタープリター。文法はBASICに似た独自仕様のスクリプト言語となっており、WindowsのGUIアプリケーションを作成できる。同梱の「スクリプトエディタ」を使ってスクリプトの記述、作成したスクリプトの実行、デバッグなどが行える。マルチメディア機能も充実しており、BMP/JPEG/MAG形式の画像ファイルを表示したり、WAV/MIDI/AVIファイルなどを再生するプログラムも手軽に作成できる。作成したスクリプトは「Hot Soup Processor」を介して実行できるほか、実行ファイルに変換して他のアプリケーションと同じように単体で実行できるようにしたり、スクリーンセーバーに変換することも可能だ。

【著作権者】onion software
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】2.4(98/03/06)

□窓の杜 - プログラミング
http://www.forest.impress.co.jp/program.html#hsp

■ ソフトのヘルプを作成

 さて、プログラムが完成したところで、プログラムの使い方を書いたヘルプファイルを作ろう。オンラインソフトを公開する場合、しっかりとしたヘルプファイルが用意されていれば初めてソフトを使う人にとっても安心だ。また、オリジナルデザインのアイコンを作ってソフトの個性をアピールしよう。

手軽にヘルプを作成できる「ヘルプカード99」

「ヘルプカード99」  ヘルプファイルの作成を支援するソフト。「ヘルプカード99」からボタン一発で「Microsoft Help Workshop」を介してヘルプファイルを作成できる。フォントの色やサイズ、画像の貼り付け、表、ボタンなどを簡単にレイアウト可能。ヘルプは1ページをカードとして作成し、HELPファイルの構造をツリー表示して階層構造で管理できる。また、同じ作者が公開している「SAP2HTML」を使えば、「ヘルプカード99」で作成したデータをHTMLヘルプ形式に変換可能。なお、ヘルプの作成には「Microsoft Help Workshop」が必要。

【著作権者】Yasuhiro Umeki 氏
【ソフト種別】シェアウェア 2,500円
【バージョン】1999/11/12(99/11/12)

□窓の杜 - エディター
http://www.forest.impress.co.jp/editor.html#helpcard
□HCWSETUP.EXE: Microsoft(R) Help Workshop Version 4.03
http://support.microsoft.com/support/downloads/dp2677.asp

HTML形式のヘルプを作成する「HTML Help Workshop」

「HTML Help Workshop」  Windows 98で標準採用されているHTML形式のヘルプを作成できるソフト。通常のHTMLタグのほかにスタイルシートやActiveXコントロール、JavaScriptなども利用可能。一般的なHTML編集ソフトで作成したHTMLファイルを読み込んで、HELPファイルに組み込むこともできる。作成途中のデータはHTMLファイルとしてそのままWebブラウザーでも表示できるが、「HTML Help Workshop」専用のタグが埋め込まれているため、表示がおかしくなる場合もあるので不必要なタグは取り除いておこう。なお、「Microsoft Help Workshop」で作成したデータをHTMLヘルプ用のデータに変換できるが、筆者が試したところ日本語の表示やレイアウトなどに問題が発生した。

【著作権者】Microsoft Corporation
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】(1.2)4.73.8320.0(99/08/04)

□Web Workshop - Introducing HTML Help
http://msdn.microsoft.com/workshop/author/htmlhelp/

オリジナルアイコンを作れる「KH IconStudio98」

「KH IconStudio98」  フルカラー画像に対応したアイコン・カーソル作成ソフト。1×1ドットから256×256ドットまでのアイコン・カーソルを16色や256色、またはフルカラーで作成できる。画像の上下・左右を反転させたり、任意の角度に回転させることができ、影をつけたような効果を加えたり、文字を挿入することもできる。また、「パレットエディタ」を使えばグラデーションも簡単に作成可能。アイコン形式やカーソル形式のほかにもBMP形式やPNG形式に対応しており、読み込んだ写真画像などを縮小してそのままアイコンとして利用できる。

【著作権者】橋本 孔明 氏
【ソフト種別】シェアウェア 1,000円
【バージョン】2.60(99/07/19)

□KH Software Factory
http://www.vector.co.jp/authors/VA007769/

■ ソフトのセットアッププログラムを作成

 ソフトを簡単にインストールできるセットアッププログラムがあれば、誰でも手軽にソフトを試せるだろう。また、プログラム本体以外にも多くのファイルをインストールする必要があったり、Windowsのシステムファイルを書き換えなければならない場合は、ソフトが不要になったときに安全にソフトを削除できるよう、アンインストール機能もついたセットアッププログラムを作成すると便利だ。

LHA形式の圧縮ファイルをセットアッププログラムに変換する「EXEpress」

「EXEpress」  LHA形式で圧縮したファイルを自己解凍形式のセットアッププログラムに変換するソフト。配布するプログラムやデータファイルをLHA形式で圧縮しておくだけで、セットアッププログラムに変換できる。「EXEpress」標準のインストール・アンインストールプログラムを使わずに、自分で開発したインストール・アンインストールプログラムを利用することも可能。セットアッププログラムに変換しても、LHA形式で圧縮しただけのファイルに比べて100KB程度サイズが増えるだけ。セットアッププログラムをダブルクリックして実行するだけでソフトのインストールを開始できるので、ソフトをダウンロードしたユーザーが解凍ソフトを用意する必要がない。なお、フリーソフトウェアライセンス版はフリーソフトの配布時のみ利用可能で、シェアウェアの配布にはプロフェッショナルライセンス版が必要。

【著作権者】(株)ウェブテクノロジ
【ソフト種別】フリーソフト(プロフェッショナルライセンス版はシェアウェア 1,700円)
【バージョン】3.10(99/11/05)

□高機能自己解凍セットアップ生成ツール「EXEpress」
http://www.webtech.co.jp/exepress/

(大蔵 峰樹)

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