ひぐちたかしの新作ソフト紹介


【第60回】

「WMA Station」

MP3から乗り換えてみよう! WMA形式を作成・変換・再生・管理する統合WMA環境

(99/11/22)

 MP3もいいが、そろそろWMA(Windows Media Audio)形式に乗り換えようかと考えている人もいるんじゃないだろうか。WMA形式の魅力はなんといってもMP3とほぼ同じ音質でファイルサイズが約半分になることだが、対応プレイヤーはまだ少なく、コンバートや管理も面倒なことが多い。そこで今回は、最近登場したWMA専門の統合環境ソフトを紹介しよう。

どんなソフト?……WMAを作成から管理まで統合的に扱う

「WMA Station」v1.01  「WMA Station」は、WMA形式の音楽ファイルを作成から再生、管理まで統合的に扱うWMA専用音楽ソフトだ。Windows 98/NT4.0で動作し、フリーソフトとして無料で利用できる。外見はエクスプローラ風のウィンドウで、WMAとプレイリスト(MP3と同じ形式のM3Uファイル)を表示。ファイルをドラッグ&ドロップしてフォルダに移動・コピーしたり、右クリックメニューからWMAファイルのIDタグを編集するなど、WMA用の簡易ファイラーとして使える。

 WAVからWMAへのエンコードは、WAVファイルを指定してAuthorやAlbum、Copyrightなどの情報を入力し、[変換]ボタンを押すだけでいい。なお変換の際の周波数やサンプリングレート設定は、デフォルトで標準的な[44.100kHz - 64kbps Stereo]に設定されているが、必要に応じてプルダウンメニューから変更できる。ただしエンコード機能を使うためには、マイクロソフトが提供している「WMA SDK」、または「WinAmp」のWMA対応フルパッケージ版がインストールされている必要がある。

 なお「WMA Station」自身はWMAの再生機能をもっておらず、WMAファイル単体やプレイリストの演奏は、関連づけられたWMA対応プレイヤーを起動して行うようになっている。したがって「Windows Media Player」v6.4や「WinAmp」v2.5などのWMA対応プレイヤーが必要だ。しかし普段利用している自分の好きなプレイヤーを使えるというのは長所と言えるだろう。

ここがスゴイ!……WAVの簡易編集やWMA形式への直接録音もできちゃう

WAVからWMAへエンコード  「WMA Station」の便利なところは、エンコードする前にWAVを簡易編集できるところだろう。[Wave Tool]によって、自動レベル調整を行ったり、フェイドインやフェイドアウトの処理、前後の無音部の削除、周波数のリサンプリングといった必要最小限のWAV編集が手軽に行えるのだ。マイク入力からアナログ録音もできるので、たとえば生バンド演奏を録音してその場でちゃちゃっと編集してWMAに変換、といった作業がスムーズにできるわけだ。

 さらに、編集が特に不要であれば直接WMAファイルに録音することも可能になっている。変換と同様に録音方式、Title、Author等を入力し、[録音]ボタンを押すだけでいい。Titleと同じファイル名のWMAファイルがカレントフォルダに作成される。そのほか、カレントフォルダのWMAファイルについてのタグ情報を、一覧表としてHTMLファイルに出力する機能も面白い。

こんな場合に便利……MP3からの乗り換えや、ディスクスペースを節約したい人に

「Wave Tool」で簡易WAV編集  携帯型のMP3専用プレイヤー(ハードウェア)などをもっていなくて、MP3と同等の音質、かつもっと小さなファイルサイズで保存できるほうがありがたいという人にWMA形式はオススメだ。そんなWMAを日本語環境で手軽に作成して楽しみたい場合や、「Windows Media Player」や「WinAmp」以外のWMA対応プレイヤーを普段使っているような人にもいいだろう。

 またWMAへの直接録音もできるので、WAVにいったん録音して変換という2ステップが面倒くさいという人にもオススメだ。WAVで何曲も録音してから変換となると一時的にかなりのHDD空き容量が必要になってしまうが、直接録音ならスペースも節約できるので非常に便利だ。

使用上の注意は?……WMAからWAVへの変換やWMAの直接編集はできない

 欲を言えばWMAからWAVへの変換機能や、WMAを(見かけ上だけでも)直接編集できるようになるとさらに便利になるだろう。使ってみた範囲では特に不具合などは見られなかったが、機能的な面では、ツリービューのルートがマイコンピュータから始まっており、マイドキュメントやネットワークコンピュータなどの特殊フォルダが表示されないのは不便に感じた。アクセスするのに手間がかかるので、今後の対応が望まれる。

【著作権者】熊木 光一 氏
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】1.01(99/11/07)

□作者: 熊木 光一
http://www.vector.co.jp/vpack/browse/person/an010864.html

(ひぐち たかし)

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