ひぐちたかしの新作ソフト紹介


【第55回】

「Voice Controler」

大きな音の回数によって識別する“気恥ずかしくない”音声認識ランチャー

(99/10/18)

 音声認識ソフトの人気がここ最近高まっているらしい。先日はテレビのワイドショー番組に某社の音声認識ソフトの新製品が取り上げられていて、タレントのマリアンさんが使っている姿を見ながら『パソコンの普及もここまで来たか』と感慨深いものがあった。それはさておき、音声認識といえばその認識の正確さがカギとなる。話し方や声の抑揚、話す人の違いにより誤認識をしてしまうことが多々あり、上記の番組でもマリアンさんが、音声認識する英会話ソフトに英単語の発音を“上級レベルでない”と烙印を押されて苦笑する場面があったくらいだ。そんな音声認識技術だが、発想を変えれば、認識精度が悪くとも別のアプローチで利用することができる。そのいい例が、今回紹介するソフト「Voice Controler」だ。

どんなソフト?……大きな音の回数で識別する音声認識ランチャー

「Voice Controler」Ver1.0  「Voice Controler」は音声認識を応用したアプリケーション起動ランチャーソフト。マイクから入力された大きな音の回数を識別する仕組みを持ち、あらかじめ設定したおいた音の回数と一致するアプリケーションを自動的に起動する。動作環境はWindows 98だが、編集部で試した限りではWindows 95でも問題なく動作した。もちろん音声入力のためにマイクとサウンドボードが必要だ。

ここがスゴイ!……マイクが拾った大きな音なら肉声でなくてもいい

設定画面  「Voice Controler」がユニークなのは、音声波形の周波数を解析して入力された音声を識別するのではなく、指定レベル以上の“大きな音”が一定時間内に何回入力されたかを識別するという点にある。大きな音が1回ならメモ帳、2回ならエクスプローラ、3回ならメールソフトといった具合に、最大5回・5種類までアプリケーションを登録できる。また音量のしきい値は自由に設定可能だ。したがって入力音声は誰のどんな声でも、声の代わりに拍手でもよく、単にマイクを叩くだけでも構わない。現在の音声認識技術に対する発想の転換をしたような、アイデアソフトと言えるだろう。

こんな場合に便利……しゃべることができない場所で

 見かけはシンプルなソフトだが、効能は意外と大きい。まず普通のランチャーソフトではマウス操作やキーボード操作がどうしても必要なので、何か作業をやりながらだと思考が中断されてしまうが、「Voice Controler」は音声認識なので思考を中断することなく素速く使える。そして何よりもパソコンに向かって一人で話しかける必要がないため、気恥ずかしくないというのが今までの音声認識ランチャーとは一線を画している。マイク端子が内蔵されたノートPCであれば、マイクの穴を軽く叩くだけでもよく、静かなオフィスでも会議中でも、人目を気にせず利用できるわけだ。また声の調子が悪いときでも起動のためのキーワードを何度も言い直すようなこともないので、ストレスがたまらず精神衛生上もいい。プログラムサイズが小さくメモリ消費も小さいので、HDD容量やメモリ消費が気になる人にも便利だ。

使用上の注意は?……アプリケーションの登録方法と登録数に注意

 声ではなく音で認識するというユニークな発想の「Voice Controler」だが、その性質上、MP3などの音声ファイルの再生中や周囲のうるさい場所で使いづらいことは承知しておきたい。またランチャーとしての使い勝手には今一歩の感がある。アプリケーションの登録はファイル選択ダイアログなどから選択するのではなく、起動ファイルのパスを手入力しなければならないのが手間だ。さらに基本的には常駐させて使うものなのに、最小化時にタスクバーに残りタスクトレイに入ってくれないのも気になる。アプリケーション登録は最大5つまでなので、よく使うものに限られてしまう点にも留意しておこう。将来的には、大きな音の回数だけでなくリズムパターンを認識するなどして、より多くのアプリケーションを登録できるようになるとありがたいのだが。

【著作権者】ちぃえむけぇ(TMK) 氏
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】1.0(99/09/30)

□EFU15 Software
http://www.vector.co.jp/vpack/browse/person/an016208.html

(ひぐち たかし)

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