きょうからオンラインソフト画伯


【第2回】

透明度を自在に調節して、水彩画風のCGが作成できる「脳の鏡」

(99/10/15)

 ども。今回紹介するソフトは、パソコン初心者でも抵抗なく使える、簡単操作のペイントソフト「脳の鏡」です。このソフトは文部省の委託を受けて製作したという、まさに子供の学習用ペイントソフトなんです。使うツールは「塗る」「(色を)吸う」「ぼかす」の3種類のみ。でも、水彩画のような質感がすごくきれいで、本格的です。本当に、小学生のころ写生大会で画用紙に絵の具で絵を書いたときの感覚で、コンピューターで楽しく絵を書くことができます。

 今回は「脳の鏡」を使って、犬の絵の描いてみました。(1)まず、ブラシツールで犬の輪郭線を描き、(2)透明度を変化させながら、水彩画っぽい微妙な色むらを表現します。(3)その際に必要なお気に入りの色の作成方法をマスターして、(4)ぼかしツールで輪郭や色むらをなめらかにしましょう。(5)とにかく、気に入った仕上がりになるまでじっくりと繰り返すのが、成功のコツです。今回もメール版を読んでいる人は、ときどき窓の杜サーバーに掲載している画像を確認してから進めてください。

  1. ブラシツールで犬の輪郭線を描く
  2. 透明度を調節してブラシツールで微妙な色むらを出す
  3. 12色の絵の具を混ぜ合わせて、お気に入りの色を作る
  4. ぼかしツールで輪郭や色むらをなめらかに
  5. とにかく気に入るまで繰り返すのがコツ

作成開始

1. ブラシツールで犬の輪郭線を描く

 まずは犬の輪郭線を描きます。「脳の鏡」では、ブラシ、水滴、スポイトの3種類のツールしかありません。画面に色を塗るにはブラシツールを使います。ブラシツールは水彩画でいうところの“筆”のことです。「ブラシツールしかないの?」って思うかも知れませんが、この筆の表現力はすごいです。ブラシのサイズや色なんかを変えたい場合は、画面右下にある2つのレバーで調節します。ちょっと珍しいんですが、「脳の鏡」ではアンドゥでやり直すことができません。失敗したら白い絵の具で塗りつぶしましょう。このあたりも画用紙上の水彩画と同じです。「直らなかったらどうしよう?」と思ってしまいそうですが、書き直したりしている間に“味”が出てくるというのも確か。とにかく失敗をおそれずに!

曲線ツールを使ってイラストを描こう

2. 犬の体に色を塗る

 次は犬の体に色を塗ります。“塗る”と書きましたが、「脳の鏡」で着色する機能はブラシツールにしかありません。普通、ペイントソフトが持っている「塗りつぶしツール」がないので、ブラシツールで少しずつ塗ってあげるしかないんです。「塗りつぶしツール」を使い慣れている人にはちょっと面倒なようですが、水彩画で均一の色が塗れるというのも考えてみればヘン。ブラシの色を少し透明にしてから塗ってみると、重ね塗りした部分にちょうどよい色むらが出てきて、水彩画らしい味が出てきたりしていいです。サンプルでは重ね塗りの特性を活かして夕日が沈むシーンを描いてみました。

イメージバッファでマスクの作成

3. 12色の絵の具を混ぜ合わせて、お気に入りの色を作る

 このままだと寂しいので背景を作ってあげましょう。12色の絵の具をクリックすると、カラーパレットにその色が少しずつ追加されるので、混ぜ合わせて色を作っていきます。ここも画用紙に描く水彩画で“パレット”の中で色をつくるのと全く同じです。気に入った色ができたら、カラーパレットの横にあるトレイ部分に色を蓄えておくことができるので、オリジナルのカラーセットを作ってみるのも楽しいです。また、すでに絵の中にある色を、もう一回使いたい場合は「スポイトツール」を使って色を抽出することができます。色むらで偶然できた微妙な色も吸い出せるので、いろいろ試してみてください。

サイケなイメージを簡単作成

4. ぼかしツールで色むらをなめらかに

 仕上げに色むらの部分をなめらかにするために、水彩画で水を含ませた“スポンジ”をたたくのと同じ効果が得られる「ぼかしツール」を使います。水滴マークのやつです。ぼかしたい部分でひたすらぐりぐりマウスを動かすと、ちょっとずつボケてゆきます。この作業は、ぼかす部分が広いと結構面倒なのですが、良い作品を作り上げるためには気に入るまでひたすらぼかしましょう。

炎のスタンプを押して、色を塗りました

5. とにかく気に入るまで繰り返すのがコツ

 これまでの「塗り重ねる」「ぼやかす」「新しい色を作る」「その色をまた塗り重ねる」という作業を気に入るまで何度も繰り返します。その間、思わぬところに色がはみ出したり、失敗したりするのですが、もうそこはその絵の「味」だと思ってしまってください。案外格好がつくものです。このソフトは本当に「お絵かき」を楽しむためのものなので、あまり片意地張らずに楽しむことが秘訣でしょう。

影を加えて、ロゴの完成だ!

「脳の鏡」を使ってみた感想

 「グラフィックソフトって難しそう」と敬遠してしまう人も、このソフトなら気軽にパソコンで絵が描けることうけ合いです。また、このソフトは絵を描いている過程をビデオみたいに再生してみたりすることもできます。ムービーソフトのような気取りは一切ないので、お子さんに紙芝居でも作ってあげてはいかがでしょうか? コンピューターっぽさを感じない、まさにパソコン初心者向けのソフトです。

 次回は、漫画風の女の子の絵に挑戦します。「コミケ」なんかで自分で漫画を描いて同人誌を発表している人、多いですよね。次回紹介するソフトは、そんな人達にも支えられて育っているペイントソフトです。そんなわけで使い勝手はいいはず。

□『脳の鏡』ホームページ
http://www.mitani-corp.co.jp/is/jkikaku/index.htm

【著作権者】三谷商事(株)
【ソフト種別】シェアウェア 3,500円
【バージョン】1.0.1JA

鈴木 ユミ


お詫びと訂正: 記事中に「アンドゥでやり直すことができません」とありますが、プレイボタンの「巻き戻しボタン」と「コマ送りのボタン」を併用することにより、作成過程のどこにでも戻ることが可能です。お詫びとともに訂正させていただきます。
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