【第52回】「Mailist」
毎日大量のメールでも大丈夫！ 振り分けと検索が使いやすいメールソフト
（99/09/20）仕事や自宅で毎日何十通、何百通もメールを受け取るようになると、メールの整理には工夫が必要だ。今すぐ返事を書く必要があるもの、返事は後日で構わないもの、目だけ通せば大丈夫なもの、週末まで読まなくてもいいもの…。受信フォルダに自動振り分けする設定をしていても、大事なメールを見落として失敗した経験は多くの人にありそうだ。特にメールの内容で分類したい場合など、振り分けと検索ではなかなか対応できないこともある。そこで今回は、振り分けによる分類や検索の機能が強力な新作メールソフトを取り上げてみよう。
ショートカットリンクで多様に分類するメールソフト
「Mailist」は、強力なメール振り分け機能と検索機能を備えた、ユニークな電子メールソフトだ。メールへのショートカットやフォルダごとのアドレス帳という概念を採用し、メールをフォルダに自動振り分けした後でも新着メールのみを確認したり、検索した結果をフォルダにまとめておくなど、メールの山から必要なものを簡単に探し出せるのが特長だ。
振り分けフォルダにはそれぞれ“フォルダアドレス帳”と呼ばれる、通常のアドレス帳とは別にフォルダ別のアドレス帳を持つ。ここに登録されたメールアドレスは、新着メールの振り分けの条件にできる。すなわち差出人別にフォルダへ振り分けてくれるわけだ。もし新着メールの差出人メールアドレスがどのフォルダアドレス帳にも登録されていなければ、メールを開いたときに振り分けウィザードが起動し、そのメールをどのフォルダに振り分けるかを設定することになる。もちろんフォルダの振り分け条件は、設定により差出人メールアドレス以外にも自由に設定可能だ。振り分け条件設定にはAND/ORの条件式が使え、優先度も設定できる。
メールが振り分けられると、元のフォルダにメールのショートカット（リンクメール）が残るのも大きな特長だろう。そのため振り分けた後でも新着メールを新着順に確認したり、同じメールを複数のフォルダに管理することが可能なのだ。
もう一つの目玉である検索機能もよくできている。キーワードを入力して検索し、ヒットしたメールを一つずつ順次見ていく通常の検索はもちろんだが、検索でヒットしたメール（正確にはそのリンクメール）を別フォルダにまとめ、順に読んでいくことも可能だ。さらに関連検索機能により、自然な文章をキーワードとして入力して検索したり、関連の深いものを類似度をつけて探し出すという検索が可能になっている。
そのほかAPOP対応やスレッド表示、テンプレートの使い分けといった最近のメールソフトに標準的な機能はほとんど網羅している。
実際に使ってみた使用感は非常にいい。フォルダアドレス帳とかリンクメールといった概念は、他の著名なメールソフトにはあまり見られないため、最初は多少とっつきにくい感もあるが、しばらく使ってみればすぐに慣れるし、こういったメールの管理方法が実に合理的で使いやすいことに気がつく。特にフォルダの振り分けはなかなか設定の面倒なものだが、差出人ごとにフォルダを分ける程度ならウィザードによって誰でも簡単に設定できることは賞賛したい。もちろんパワーユーザー向けにAND/ORや優先度をつけた細かい振り分け条件設定ができるのもありがたいし、検索機能の強力さも非常にうれしい。
メールソフトというジャンルは、最初に慣れてしまったものからの乗り換えが面倒であったり、既存の著名なメールソフトが非常に優秀であったりして、ここ数年はなかなかそのシェアを崩すような新作が登場してこなかった。かわいいキャラクターを育成するというちょっと変わった視点からシェアを伸ばしたメールソフトもあったが、メールのパワーユーザー向けではない。しかしようやくここに来て、この「Mailist」の登場がメールソフトの世界に新風を巻き起こしてくれそうな気がしている。筆者の印象としてはそのコンセプトもユーザーインターフェイスも手応え十分。現在はフリーソフトとして配布されていることもあり、その動向には大いに注目していきたい。
【著作権者】シャープ（株）
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン1.5β5（99/09/06）□メールの山にうもれてしまったあなたへ… Mailistの紹介
http://naragw.sharp.co.jp/softcenter/Mailist/
（ひぐち たかし）
