ひぐちたかしの新作ソフト紹介


【第47回】

「Safe Melt 32」

DLL不要、自己解凍型専用のパスワード付き圧縮!暗号化ZIPより小さい場合も!

(99/08/16)

 ファイルを第三者の目に触れさせたくないときは、ZIPやRARで暗号化圧縮しておくのが手っ取り早い方法だが、一方でパスワードを忘れて困った経験はないだろうか。暗号化ZIPのパスワードを解読するソフトも存在しているが、第三者に解読されてしまう危険性もあり、諸刃の剣だ。また解凍や復元に特定のソフトや外部DLLが必要だと、配布した相手に復元できないと言われてしまうこともある。そこで今回は、そういった問題をクリアしてくれるアーカイバーを取り上げよう。

独自の暗号化アルゴリズムを持つ自己解凍型専用の圧縮ソフト

「Safe Melt 32」v1.66  「Safe Melt 32」は、自己解凍型専用のファイル圧縮ソフトだ。圧縮時にパスワードの設定が可能で、解凍の際にはコンソール形式(MS-DOSプロンプトで表示)またはWindowsのGUIベースでパスワードや解凍先フォルダを入力指定できるため、わかりやすく使いやすい。暗号化圧縮には独自のアルゴリズムを採用しており、外部DLL類や解凍ツールなどは一切不要なので、パソコン初心者に配布する際にも安心だ。

 特に、圧縮ファイルには解凍の前に任意のメッセージを表示するよう設定できるのがいい。メッセージは最大約3万文字までOKなので、そのファイルについての説明を入力しておいてもいいし、パスワードを設定する場合には自分だけがパスワードを連想できるようなヒントを入力しておけば、思い出しやすいわけだ。たとえば「子供の頃に飼っていたペットの名前は?」などと入力しておけば、自分が誰かにしゃべった覚えがない限り、安心かつ忘れにくい(かもしれない)。

 また、フロッピーディスクに入りきらない大きなファイルを分割して圧縮する機能もある。圧縮保存先ドライブを指定するだけで自動的に分割し、1枚目のフロッピーに自己解凍プログラムが記録される。フロッピー使用が想定されているためか、任意サイズへの分割はできないが、手渡しや郵送でファイルを配布する場合などには便利だろう。

 なおサンプルとして、7つのオリジナルMIDIファイルがコンソールタイプの自己解凍形式で圧縮されたものが同梱されている。自己解凍型のファイルがどのような動作をするのか、まずは試して確認してみよう。

よく考えられた操作性もポイント

 概してZIPやRARなど既存の圧縮ファイル形式の弱点を見事に克服した、なかなかユニークなアイデアソフトだと言えるだろう。独自のアルゴリズムを用いることで安全性を高め、また自己解凍型専用にすることで外部DLL等の入手が不要なだけでなく、解凍ツールの必要性をなくし、解凍前のメッセージ表示も可能にしている。それゆえパスワードも忘れにくくできるわけだ。

 実際に使ってみると、ユーザーインターフェイスがとても良くできていることに気がつく。ドラッグ&ドロップでのファイル指定や、チップヘルプの装備、シンプルでわかりやすい画面構成など、初めてでも十分使いこなせるだろう。圧縮性能もまずまずで、圧縮するファイルの種類や量によっては暗号化ZIPの自己解凍型より小さいサイズになるのもうれしい。

 ただ、あえて気になる点をあげるとすれば、ウィルスに対する対策だろう。EXEファイルしか作成できないということは、それだけウィルスが混入しやすいということでもある。作成されるEXEファイルに自分自身をチェックするような機構がほしいところだ。

【著作権者】しなぷす/Team Schaft 氏
【ソフト種別】フリーソフト(寄付歓迎)
【バージョン】1.66(99/08/09)

□Team Schaft's Homepage
http://www3.big.or.jp/~schaft/

(ひぐち たかし)

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