Click Here
【Click Here!】
ひぐちたかしの新作ソフト紹介


【第37回】

「RsFTP」

自宅での受信FAXを外出先から確認! 通知をメールで受け取れるFAX活用ソフト

(99/06/07)

 機械の苦手な人にとって、手軽に図柄や手書き文字を送受信できるFAXは、パソコンよりずっとハードルの低い情報端末だ。安価なホームFAXの普及により、出前の注文といった日常的な場面でもFAXは活躍するようになっている。だが一方で、FAXをモバイルで活用することは困難だった。留守番電話や電子メールと違い、自宅に届いたFAXの紙を外出先から見るわけにはいかないからだ。しかし今や、それすらもパソコンを使えば簡単にできてしまうと言えば、皆さんは信じるだろうか。今回はそんな便利なソフトを取り上げてみよう。

モバイルな人のためのFAX受信ソフト

「RsFTP」  「RsFTP」はFAX受信専用のFAXソフトだ。受信用のFAXソフトというと、FAX機器を持っている人には無用なのかと思われがちだが、もちろんそんなことはない。なによりスゴイのは、受信したFAXの内容をホームページに自動でアップロードし、メールで受信通知してくれるのだ。つまり外出先から自宅でのFAX受信を知ることができ、その内容をWWWブラウザーからWebページ上で見られるというわけだ。もしモバイル用のサブノートPCを持っていなくても、メールを受信できる端末(インターネットメール対応の携帯電話でOK)があれば、インターネットの体験できる電器店などに飛び込んで、受信FAXの内容を確認することが可能になる。

 「RsFTP」の基本動作は、大きく分けて2つある。「FAX受信モード」でのFAX受信機能と、「FTPモード」でのFTP転送・メール通知機能だ。

 まずメインとなるFTPモードでは、受信したFAXの内容を特定の画像形式に変換、さらに表示用のHTMLファイルを作成してWebサーバーにFTPで自動アップロードする機能、およびそのURLを指定のメールアドレスに通知する機能がある。モバイルでFAX受信内容を確認したいときは、起動してFTPモードにして待機させておくだけでいい。FAX受信があれば動作ログをウィンドウに表示しながら、自動的にアップロードからメール通知まで行ってくれる。表示するWebページではFAX受信ごとに一覧表が表示され、リンクをクリックすればFAXの内容がGIF画像として表示できる。また「FAXファイル付加」のオプションを指定していれば、FAXファイルを個別にダウンロードできるようにもなる。出先でFAX受信の内容をオフラインでゆっくり見たいときや、印刷したいときに便利な機能だ。FAXファイルはBMPやTIFF形式でアップロードでき、LZHファイルに圧縮しておくことも可能になっている。

 一方FAX受信モードでは、普通のFAX受信ソフトと同様に、受信したFAXの内容を画面に拡大/縮小して表示したり、ファイルに保存、印刷する。つまり単なる普通のFAX受信用ソフトとして使うことができる。自動受信だけでなく、受話器を取ったらFAXだった、という場合のための手動受信機能も装備されている。受信したFAXファイルはBMP/GIF/TIFF形式に変換して保存することも可能だ。

 一連の動作を行わせるためには、最初に「FAX受信モード」のための通信関連の設定と、「FTPモード」でのFTP設定やメールアドレスの設定などさまざまな設定をきちんと行う必要がある。モデムの設定や受信動作確認は、実際にテストしながら行うほうがいいだろう。

導入環境での十分な動作確認が必要

 さて、このように機能的には非常に魅力的なソフトなのだが、いざ実際に使ってみると、完成度としてはまだこれからといった感じを受けることも否めない。

 まず最初の設定がわかりにくいことがあげられる。必要な設定が多岐にわたるにもかかわらず、とりあえず使うためには何から行えばいいのか、使い始めるまでの流れがつかみにくい。機器接続の図解もほしいところだ。また、さまざまな機能を満載しているだけに、その分使いにくさも目立ってしまった。例えば最近のFAX機器には、1本の電話回線をFAXと通常の留守番電話とで共有する機能があるが、そういった使い方ができないのは残念だ。またFAX内容をWebページで表示する場合に、拡大縮小ができないことが気になった(WWWブラウザー側に画像のズーム表示機能があれば可能)。表示画像のWIDTHとHEIGHTを変えたHTMLページも作成できればいいだろう。

 なお筆者の試した範囲では、「FAXファイル付加」の設定にしたり、FAXファイルのタイプをTIFFに指定した場合など、エラー表示されたりうまく動作しない不具合がいくつか見られた。また複数のページをFAX受信した場合、2枚目以降を含むLHZファイルがアップロードされないこともあった。試用の際の動作テストは各自十分に行うべきだろう。シェアウェアの試用期間は1ヶ月間あるため、その点は安心と言える。

 こういったいくつかの気になる点は今後改善されることを期待しながら、今はこの「RsFTP」の将来性を買いたい。アイデア次第ではかなり面白い使い方ができるだろう。外出先から自宅宛のFAXを確認できるということで、推理小説の世界でアリバイ工作に使われることもありそうな、なかなか画期的なソフトだ。

【著作権者】勝村 信夫 氏
【ソフト種別】シェアウェア 3,000円
【バージョン】1.00(99/05/26)

□Media TEN
http://www.mediaten.com/

(ひぐち たかし)

トップページへ
ひぐちたかしの新作ソフト紹介 INDEX


Copyright(C), 1996-1999 Impress Corporation.
編集部への連絡は mado-no-mori-info@impress.co.jp まで