【第15回】
「Virtual Composer」v2.3
歌詞にあわせた作曲も可能な自動作曲ソフト
（98/12/08）
比較的リリースが新しく、これからの成長も楽しみなオンラインソフトにスポットを当て、その魅力などを紹介しよう。
作詞には多少なりとも自信があるのに、どうしても自分では曲が作れない…という人は多いようだ。歌詞に曲をつけるという作業は、やってみるとわかるが非常に難しい。主旋律が無意識のうちに過去の有名なヒット曲をなぞっていて後であわてることもある。オリジナルを生み出すということは実に大変なこと。しかし「何事も才能が必要なんだよ」とあきらめるにはまだ早い。あなたの作った歌詞に曲をつけてくれるソフトだって登場している時代なのだ。
歌詞と曲イメージを指定するだけの極楽自動作曲ソフト
「Virtual Composer」はパソコンに作曲させる自動作曲ソフトだ。本連載でも第13回に「自動作曲システム」というソフトを紹介したが、あちらはどちらかといえば歌詞を意識しない、ゲーム音楽やBGMに適した小曲を作ってくれるものだった。だがこの「Virtual Composer」は歌詞をつけないような曲はもちろん、歌のメロディをつけることを前提にした作曲だってしてくれる。さらには好きな歌詞を入力すれば、その歌詞にあわせた作曲もやってくれる、夢のようなソフトなのだ。
「Virtual Composer」での作曲の流れは次のようになる。曲のタイトルと制作者名を適宜入力したあと、まず曲の雰囲気（明るさ、激しさ、速さ、リズム感）をスライドバーで指定する。さらに歌の設定（歌詞をつけるか、音域を指定するかどうか）を決め、曲ジャンルによる使用楽器を指定し、曲の構成を決める。あとは作曲ボタンを押すだけという簡単さなのだ。その場でMIDIファイルを作ってくれ、演奏させることができる。
歌詞や曲構成はコンピューターに任せた自動設定も可能で、作詞しない（歌詞をつけない）設定の場合は歌の旋律のないBGM風の曲ができあがる。歌詞の入力は1行に1フレーズ、1つのメロディブロックに8フレーズまで入力可能。歌詞と曲構成を調節することで曲のおおよその長さも決まってくる。ただし曲構成はイントロや間奏も含めて16のメロディブロックまでしか指定できない。
使用楽器の指定では、あらかじめ定められた7ジャンル、すなわち「ノンジャンル」「ピアノアレンジ」「フォーク」「ロック」「テクノポップ」「ロックポップ」および「なし（メロディのみ）」の中から選択することで、それぞれに適した楽器を自動選択させることが可能だ。もちろん「ドラム」「ベース」「ピアノ」といった楽器を個別に指定する方法もある。
曲の構成については、歌詞を自作しているなら例えば「イントロ-Aメロ-Bメロ-サビ-間奏-A'メロ-B'メロ-サビ'-間奏」のように自分の好みに指定できる。イントロと間奏以外は先ほど入力した歌詞と対応しており、歌詞プレビューボタンで曲構成に沿った歌詞全体を確認できる。また曲構成に迷うときは自動決定させることも可能だ。
耳に残る作曲のヒントに
さて実際に歌詞に合わせて作曲させてみると、イントロやサビを盛り込めることもあり、一見なかなか曲らしい曲に聞こえる。しかしよく聴くと歌のメロディが歌詞にあっているのかどうか、疑問に感じることも多い。無理のないコード進行のおかげで曲らしく聞こえるものの、歌詞を目で追って曲を聴いていくことができないのだ。カラオケのように歌詞を追う機能がほしいところだろう。そもそも歌のメロディのみに注目すると、耳に馴染まない旋律になっていることがままあり、主旋律の作曲機能についてはまだまだこれからといった印象を受けた。また、何曲も作曲させてみると、ジャンルが同じ場合は似たような曲になりやすい。街に流れるヒット曲のような曲には程遠く、こうしてみると改めて作曲の難しさというものを感じさせられる。
しかし、歌詞から曲のイメージすら固まらないときにこのソフトを使うことで、曲作りのために得られるヒントは多いに違いない。自動作曲させた曲をいくつも聴いているうちに、耳に残るメロディを見つけることもあるだろう。また作りうる曲のイメージをさまざまに具体化する手段としても有効と思われる。いずれにしろ「VirtualComposer」の挑戦は非常に面白く、今後の開発の行方に大いに注目していたい作品だ。
【著作権者】ＶＣ開発プロジェクトチーム
【ソフト種別】フリーソフト
【バージョン】2.3（98/11/28）
□SONiX SOFT
http://member.nifty.ne.jp/nakaya-s/sonix.html
（ひぐち たかし）
